【実務】オフィス移転で補助金・助成金を活用する方法|知らないと損する制度まとめ
1. オフィス移転は“補助金で賢く進める”時代に
オフィス移転は、賃料・工事費・設備費など多額のコストがかかるため、中小企業にとっては大きな負担となります。しかし、国や自治体が提供する補助金・助成金を活用することで、費用負担を大きく軽減できることをご存じでしょうか。
特に、感染症対策・働き方改革・DX推進・省エネなどと紐づく制度は、オフィス移転と非常に相性が良く、条件次第では数百万円規模の支援を受けられるケースもあります。
本記事では、オフィス移転で活用しやすい主要制度を整理するとともに、申請の進め方や注意点をわかりやすく紹介します。
2. オフィス移転で使える補助金・助成金の種類を知る

オフィス移転と相性の良い補助金・助成金は、大きく4つのカテゴリーに分けられます。それぞれの制度は目的が異なるため、まずは「どの分野の補助金が自社の移転理由と一致するか」を理解することが、制度選びの第一歩になります。
補助金は単に費用を抑える手段ではなく、企業が目指す働き方や生産性向上の方向性を後押しする役割を果たします。そのため、本章では各カテゴリの特徴を丁寧に解説し、どのような移転シーンで活用できるのかを明確にイメージできるよう整理します。
(1)生産性向上・DX化に関する制度
このカテゴリは、IT環境強化を目的とした制度が多く、オフィス移転と特に相性が良い領域です。ネットワーク環境の刷新、PCやセキュリティ機器の導入、クラウド化の推進などは、移転時にまとめて実施されることが多く、補助金の対象になりやすい特徴があります。企業がDXを推進する流れは年々加速しており、国の支援メニューも豊富です。
移転を機にIT基盤を強化したい企業は、このカテゴリの制度を最優先で調べる価値があります。
<対象となりやすいもの>
- PC・サーバー・ネットワーク機器
- セキュリティ環境整備
- 業務システムやクラウドツールの導入
(2)働き方改革に関する制度
働き方改革関連の制度は、オフィス移転との親和性が非常に高い分野です。フリーアドレス化、オンライン会議の整備、テレワーク環境の構築など、「新しい働き方を実現するための投資」が対象になるケースが多く見られます。
移転をきっかけにレイアウト改善やワークスペースの改修を行う企業にとっては、活用できる可能性がとても高いカテゴリです。
<対象となりやすいもの>
- フリーアドレス用家具・什器
- テレワーク設備
- 会議室のオンライン化
- 業務効率化を支えるワークプレイス改善
(3)省エネ・環境改善に関する制度
設備更新を伴う移転であれば、省エネ系の補助金が有力候補となります。特に、移転先で空調の入れ替えやLED照明の導入を検討している企業は該当しやすく、「電気代の削減」という直接的なメリットと、「補助金による投資額軽減」という二重の効果が期待できます。
近年は環境配慮型の取り組みが評価される傾向もあり、制度が拡充され続けている分野でもあります。
<対象となりやすいもの>
- LED照明化
- 高効率空調設備
- 断熱対策やエネルギー使用量削減設備
(4)雇用・人材確保に関する制度
一見するとオフィス移転とは距離があるように見えますが、バリアフリー対応や多様な働き方を支える投資はこのカテゴリで支援されることがあります。
高齢者・障がい者・子育て世代など、幅広い人材が働きやすい環境を整える施策は、多くの自治体で重要視されており、動線改善や設備改修は移転とセットで行いやすい作業です。
「採用力強化」と「職場環境改善」を同時に進めたい企業に向いています。
<対象となりやすいもの>
- バリアフリー工事
- 採用・雇用促進につながる職場改善
- 柔軟な働き方を支える設備
補助金・助成金はそれぞれ目的が異なるため、「移転の目的」→「制度カテゴリ」→「具体的な制度」という順番で検討すると、自社に合う制度を見つけやすくなります。
オフィス移転は、多くの設備更新や働き方改善が同時に発生するため、複数の制度を併用できるケースも少なくありません。まずは自社の移転目的と合致するカテゴリを把握することが、補助金活用を成功させる第一歩となります。
3. 移転で活用しやすい代表的な制度まとめ

オフィス移転と相性が良い補助金・助成金は多数ありますが、その中でも特に利用しやすく、多くの企業が採択されている代表的な制度を紹介します。
移転は設備更新・レイアウト刷新・IT環境整備が同時に発生するため、これらの制度と組み合わせることで費用負担を大幅に軽減することができます。
制度の概要だけでなく、どのような移転シーンで相性がよいのかも含めて解説します。
(1)IT導入補助金
- 対象:PC・Wi-Fi・デジタルツールの導入
- 補助率:1/2〜2/3
- 特徴:通信環境整備やクラウド導入を伴う移転に最適
IT導入補助金は、特に中小企業にとって最も活用しやすい制度のひとつです。オフィス移転時にはネットワーク再構築やクラウドツールの全社導入を検討する企業が多く、そのタイミングで申請することで補助対象を広げやすくなります。
また、セキュリティ強化やペーパーレス推進など、移転後の業務効率化と直結する投資が多いため、非常に汎用性が高いのが特徴です。
(2)ものづくり補助金(デジタル枠)
- 対象:IT機器、効率化設備、業務DX関連の投資
- 補助額:最大1,250万円
- 特徴:大規模な移転やレイアウト刷新に向いている
ものづくり補助金は、一般的に工場向けの補助金として知られていますが、デジタル枠はオフィス移転にも十分活用できます。大規模レイアウトの変更、会議室のオンライン化、防音工事や専用設備の導入など「生産性向上に寄与する投資」が幅広く対象になります。
採択率は書類精度で大きく変わるため、移転の全体計画と合わせて事業計画書を作り込むことが重要です。
(3)小規模事業者持続化補助金
- 対象:内装工事・広告・設備導入など幅広く活用可能
- 補助額:最大200万円
- 特徴:小規模企業向けで使い勝手がよい
小規模事業者持続化補助金は、対象経費の範囲が広く、オフィス移転で必要となる工事・什器・マーケティング関連費用などを一括で申請できるのが大きな魅力です。特に、移転が「事業拡大」「顧客対応力の向上」「生産性向上」といった目的と紐づく場合は採択されやすくなります。
比較的申請難易度が低く、初めて補助金を利用する企業にも適した制度と言えます。
(4)自治体独自のオフィス移転支援制度
- 例:東京都「テレワーク助成金」、地方自治体の創業補助金・企業誘致助成金
- 特徴:移転先の自治体で手厚い支援が受けられるケースが多い
自治体の制度は、全国一律ではなく、地域ごとの産業政策や誘致施策に応じて内容が大きく異なります。特に都市部ではテレワーク設備やワークスペース改善への補助が多く、地方自治体では企業誘致のために家賃補助や開設費補助を実施している場合があります。
移転先の自治体がどの分野に力を入れているかを把握することで、自社の移転目的とぴったり合う制度を見つけやすくなります。
4. 補助金を活用するための“準備段階”が最重要

補助金は「申請すればもらえる」ものではなく、適切な準備と計画が必要です。
オフィス移転はタスクが多いため、早い段階で補助金の活用方針を固めるとスムーズに進みます。
準備段階で必ずやるべきこと
- 移転目的を明確化する(効率化・省エネ・人材確保など)
- 導入する設備のリスト化
- 見積書を早めに取得
- 対象経費かどうかを事前確認
- スケジュール全体を補助金に合わせる
補助金には「申請後でないと発注できない」という厳しいルールがあります。後から申請しようとしても、もう間に合わないケースが非常に多いため、早めの検討が欠かせません。
5. 申請時に押さえるべきポイント

補助金や助成金の申請では、書類の質が採択を大きく左右します。
オフィス移転はスケジュールが厳しいだけに、「早く申請したい」という気持ちが先行しがちですが、準備不足のまま提出すると不採択になる可能性が高くなります。
(1)移転による“改善効果”を明確化する
補助金は「将来の効果」を見据えた公的支援制度であるため、単に移転が必要であるという説明だけでは十分ではありません。
審査において最も重視されるのは、移転によってどれだけの改善が見込めるかを、論理的かつ定量的に示すことです。例えば、作業効率の向上、会議環境の改善、ITトラブルの減少、エネルギーコストの削減など、具体的な効果を数字を交えて示すことで、説得力が格段に高まります。
「なぜ移転が必要なのか」「移転しなければどんな問題が残るのか」をセットで説明できると、計画の必然性をより強くアピールできます。
(2)事業計画書は専門家と作成すると成功率が高い
補助金申請で最も時間がかかり、最も重要なのが事業計画書の作成です。計画書の質が低い場合、実際の投資内容が適切であっても不採択になる可能性があります。
そのため、事業計画書では以下のような観点を丁寧に整理することが求められます。
<事業計画書で必ず整理すべき要素>
- 移転の目的と背景
- 解決したい課題と現状の問題点
- 導入する設備がどのように課題を解決するか
- 投資による効果(定量・定性両面)
- 実行スケジュールとリスク対策
これらが明確に整理されている計画書は審査でも高く評価されやすく、補助金獲得につながりやすくなります。
(3)専門家のサポートを受けると成功率が上がる
補助金は制度ごとにルールや審査基準が異なるため、自社だけで書類を作成するのは負担が大きい場合があります。特にオフィス移転と並行して準備する場合、担当者が作業に追われて計画書の精度が下がってしまうケースも珍しくありません。
行政書士や中小企業診断士など、補助金申請の実績が多い専門家を活用することで、採択率は大きく向上します。加えて、書類の抜け漏れや形式ミスを防げるため、移転スケジュールに影響を与えるリスクも減らせます。
補助金の申請を成功させるためには、移転の目的と効果を明確に示すこと、計画書の完成度を高めること、そして必要に応じて専門家を活用すること が重要です。
これらを押さえることで、事業の実現性と必要性がより高く評価され、採択につながりやすくなります。
6. 補助金を使う際の注意点

補助金や助成金は、適切に活用すれば移転コストを大きく抑えられる魅力的な制度です。しかし、制度特有のルールを正しく理解していないと「申請したのに対象外だった」「スケジュールに間に合わなかった」といったトラブルになりかねません。
ここでは、申請時に特に注意すべき代表的な落とし穴を解説します。
注意点1:申請前に工事を発注すると対象外
補助金で最も多いトラブルが「申請前に契約してしまったため、対象経費として認められなかった」というケースです。ほとんどの補助金制度では明確に「交付決定前の契約・発注・着工は禁止」と定められており、これに違反すると申請自体が無効扱いになります。
オフィス移転はスケジュールがタイトで、工事日程を早く確保したくなりますが、焦って契約すると全額自己負担になってしまうため、慎重に進める必要があります。企業側がスケジュールを優先しすぎると起きやすいミスなので、移転計画と補助金スケジュールを最初からセットで作ることが重要です。
注意点2:見積書の形式がルールに合わない
補助金では、見積書の形式や記載内容に非常に細かいルールがあります。例えば「日付」「数量」「単価」「内訳」「工事区分」などが求められることが多く、曖昧な表記や一式表示が多い見積書では不備扱いとなる場合があります。
また、同じ設備でも“工事費として認められるか” “物品費として計上されるべきか” といった細かな区分が必要になる制度もあり、注意が必要です。
見積書の修正には時間がかかるため、早い段階で補助金要件と照らし合わせて準備することが失敗を防ぐ鍵となります。
注意点3:補助対象にならない費用が多い
制度によって対象となる経費の範囲が大きく異なることも、企業が見落としやすいポイントです。例えば、引越し運搬費や移転業者の費用、備品の一部などは対象外になることが多く、申請後に「思っていたより補助されなかった」という事態が生じやすい領域です。
また、家具や什器は制度によって扱いが変わるため、対象かどうかを事前にチェックする必要があります。「どこまでが対象で、どこからが対象外なのか」を移転前に明確にし、計画全体の費用に影響が出ないように管理することが欠かせません。
注意点4:完了報告書が複雑
補助金は申請時だけでなく、「交付後の報告義務」が非常に重いという特徴があります。工事前・工事中・工事後の写真、領収書、契約書、検収書など、多くの証跡資料を提出する必要があるため、申請書類よりも手間がかかるケースもあります。これらの資料が揃わない場合、補助金の支給が遅れたり、最悪の場合は返還を求められることもあります。
移転プロジェクトは多数の関係者が関わるため、証跡管理の担当者を明確にし、早い段階で必要資料のリスト化を行うことがスムーズな運用につながります。
7. 補助金活用の進行ステップ

補助金は単体で進めると複雑に感じられますが、オフィス移転のプロジェクト計画に組み込むことでスムーズに進められます。重要なのは、“移転の流れに補助金スケジュールを合わせる” のではなく、補助金のルールに沿って移転の準備を前倒しすることです。
以下のステップに沿って進めることで、申請の抜け漏れを防ぎ、採択率を高めながら無理のないスケジュール構築が可能になります。
ステップ1:移転計画の初期段階で制度を調査
オフィス移転を検討し始めたら、最優先で補助金情報を調べます。多くの制度は募集期間が限られており、申請タイミングを逃すと翌年まで利用できないケースもあります。また、補助金には「申請前に契約してはいけない」という明確なルールがあるため、制度を知らないまま内装工事を依頼してしまうと、それだけで申請資格を失う可能性があります。
そのため、遅くとも移転6か月前には制度調査を開始し、利用できる候補制度を洗い出すことが重要です。
ステップ2:対象となる設備・工事をリスト化
制度調査を終えたら、移転で必要となる工事・設備・什器などを具体的にリスト化します。
補助金は「何が対象になるか」「どの範囲が対象外か」が制度ごとに異なるため、ここでの整理が後の計画精度を左右します。特に、IT設備・空調・オンライン会議環境などの費用が対象になりやすいため、移転目的と制度要件を照らし合わせながら進めることがポイントです。
この段階で清掃会社・内装会社・ITベンダーから見積書を取得し始めると、スムーズに次のステップに進めます。
ステップ3:見積書を揃え、事業計画を作成
補助金申請では、見積書の不備が不採択の原因になりやすく、“形式が整っているかどうか”が非常に重要になります。見積書を複数の業者から入手することで、価格だけでなく、補助対象として認められる内容かどうかを確認しやすくなります。そのうえで、補助金の審査において最も重視される「事業計画書」を作成します。
事業計画書では、移転の目的、課題、実施する施策、導入設備の役割、効果予測を明確に示す必要があり、専門家を活用すればより精度の高い内容に仕上げることが可能です。
ステップ4:申請→採択後に発注
事業計画書や見積書が揃ったら、申請を行います。審査期間は数週間〜数か月に及ぶこともあり、その間は工事の契約や発注を行ってはいけません。採択通知が届いた後に正式な発注手続きを進めることで、はじめて補助対象になります。オフィス移転はタイトな工程になりがちですが、この“採択後の発注”が補助金の大前提であるため、スケジュール調整が重要です。
採択後は速やかに工事業者と日程調整を行い、予定通り移転が進むようにプロジェクト全体の流れを再確認します。
ステップ5:工事完了後に報告書を提出
補助金の受給には、工事完了後の「実績報告」が必須です。報告書には、契約書、領収書、銀行振込記録、工事中・工事後の写真、設備導入の証跡など、多くの資料が必要になります。これらの書類が揃わない場合、補助金の支給が遅れたり、一部が不認定になるリスクがあります。
そのため、移転プロジェクト中は証跡資料をこまめに保存し、担当者を明確にして管理することで、スムーズな報告提出が可能になります。
8. まとめ

オフィス移転は初期費用が大きい分、補助金・助成金を活用できれば大きなコスト削減効果が期待できます。特に、DX・働き方改革・省エネといったテーマは、移転と非常に相性が良いため、活用できる制度が多く存在します。
補助金活用で最も重要なのは、とにかく早く調べ始めることです。移転計画と並行して制度を確認し、適切に準備を進めることで、効率的で負担の少ない移転を実現できます。
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