【費用】オフィス移転費用の内訳と削減のコツ|見積もりで損しないために知っておくべきこと
1. オフィス移転に潜む“見えないコスト”
オフィス移転は、企業にとって大きな節目であり、新しいスタートを切る重要なプロジェクトです。しかし、多くの企業が直面するのが想定外の出費。「賃料や内装費だけを見積もっていたら、最終的な請求が倍以上になっていた」そんなケースも珍しくありません。
実際の移転費用には、原状回復工事・引越し・通信設備・保証金など、多岐にわたる項目が含まれます。さらに、工期の遅延やスケジュール調整に伴う二重家賃など、見えにくいコストも発生します。
本記事では、オフィス移転にかかる費用の全体像と、見積もり段階で「損をしない」ためのポイントを体系的に解説します。
2. オフィス移転費用の全体像

オフィス移転の総費用は、一般的に「1坪あたり15〜25万円」が目安とされています。ただし、この中には複数の費用項目が含まれており、時期・規模・物件条件によって大きく変動します。
小規模オフィスであれば数百万円規模で収まることもありますが、数十人規模以上の移転では数千万円単位に達するケースも珍しくありません。移転費用は大きく分けて、次の3つのカテゴリーで構成されます。
費用カテゴリー
初期費用:保証金・敷金・仲介手数料・内装・設備費など、契約時に発生する費用。
移転関連費用:引越し・通信・什器搬入・サイン設置など、実際の移転作業に伴う費用。
退去費用:旧オフィスの原状回復・廃棄物処理・清掃など、退去後に必要な費用。
特に見落とされやすいのが、「二重家賃」や「工期遅延による追加コスト」といった、計画段階では想定しにくい支出です。新オフィスの契約期間が旧オフィスより早く始まると、数週間から1か月分の家賃を“二重で”支払うことになります。
また、移転プロジェクトには多くの関係者(オーナー、仲介業者、施工会社、ITベンダーなど)が関わるため、調整ミスや工期のずれが発生すると、引越し費用や人件費も膨らみます。
こうしたリスクを抑えるためには、費用の「発生タイミング」と「支払い順序」を把握しておくことが欠かせません。
支出の主な流れ
1:新オフィス契約(保証金・仲介料など)
2:内装・設備工事(設計費・施工費)
3:引越し準備(什器・通信機器・備品の調達)
4:退去準備(原状回復・清掃・撤去)
このように、オフィス移転の費用は「前後で発生する2つのコスト」(入居と退去)を同時に管理する必要があります。
事前に全体像を整理しておくことで、資金繰りや予算調整をスムーズに行い、見積もり段階での判断精度を高めることができます。
3. 主な費用項目の内訳

下表は、オフィス移転にかかる主な費用項目とその目安です。
企業規模や立地条件によって変動しますが、全体感を掴む指標として参考になります。
|
費用項目 |
内容 |
費用の目安 |
|
原状回復費 |
退去時にオフィスを元の状態に戻す工事費用 |
1坪あたり3〜8万円 |
|
内装・造作費 |
新オフィスのレイアウト・設備・デザイン工事 |
1坪あたり10〜20万円 |
|
引越し費用 |
什器・荷物・IT機器の運搬、搬入作業 |
数十万円〜数百万円 |
|
仲介手数料 |
不動産会社への仲介料(賃料1か月分が目安) |
賃料1か月分 |
|
保証金・敷金 |
契約時に支払う預かり金(退去時返還あり) |
賃料の6〜12か月分 |
|
通信・設備関連費 |
回線・LAN・サーバー・OA機器の設置 |
数十万円〜規模による |
|
その他雑費 |
クリーニング、看板設置、備品購入など |
数万円〜 |
移転プロジェクトでは、見積書を複数社から取得し、各項目の内訳を必ず「見える化」しておくことが重要です。
4. 原状回復費用の注意点

最も見落とされやすいのが、原状回復費用です。退去時に「思ったより高額だった」とトラブルになるケースが非常に多く、事前確認を怠ると予算を大きく圧迫します。特に注意すべきは、契約時に取り交わした原状回復条件です。
オフィスによっては「スケルトン返却(全撤去)」が義務付けられており、床・天井・壁・照明などの撤去工事が必要になる場合があります。反対に、最近では「居抜き返却」や「原状回復不要型オフィス」も増えており、条件によっては数百万円単位で費用を削減できるケースもあります。
ポイント
◆契約書の「原状回復に関する特約条項」を必ず確認する
◆オーナー・施工会社それぞれから見積もりを取り比較する
◆退去通知の6か月前には、撤去範囲と見積金額を明確化
原状回復については「原状回復のルールとトラブル回避のポイント 〜退去時の費用を最小限に抑えるための実務ガイド〜」に詳しく記載しています。こちらも一緒に参考にすることをお勧めします。
5. 内装・什器・IT関連費用を最適化する方法

内装や設備関連費は、オフィス移転費用の中でも最も金額が大きい項目です。
一方で、設計と発注の工夫次第でコストを大幅に抑えることが可能です。
単に“安くする”だけでなく、業務効率や快適性を維持しながら支出を最適化することが重要です。
内装設計のポイント
会議室や休憩室を必要最小限にし、共用スペースを縮小する。天井・床・照明などは既存状態を活かすことで工期と費用を削減。
また、壁紙や床材などの素材選びを標準仕様に統一するだけでも、施工単価を抑えられます。「おしゃれなオフィス=高コスト」という誤解を避け、デザインよりも機能性重視の発想でプランニングしましょう。
什器・家具の工夫
既存の机・椅子をリペアして再利用する。中古什器の購入や、リース・サブスク導入で初期費用を分散。特に、リース契約を利用すれば、保守や故障時の交換が含まれる場合もあり、長期的コストを安定化できます。
また、什器を統一することで空間の見た目にも一体感が生まれ、企業ブランディングにもプラス効果があります。
IT・通信関連費の見直し
現行の回線契約や電話番号をそのまま移設できるか確認する。機器の再利用で設定費や保守費を抑制。移転先のネットワーク構成を事前に整理しておくことで、無駄な配線工事や追加機器の購入を防ぐことができます。
また、クラウド化や無線LAN環境の導入を進めることで、配線レスなレイアウト変更の自由度も確保できます。
これらを統合的に管理することで、1坪あたり数万円規模の削減が期待できます。
特に、設計・施工・ITベンダーの三者を早期に連携させることが、「後戻りコスト」防止の最も有効な手段です。
6. 移転スケジュールとコストの関係

オフィス移転において「時間=コスト」です。準備が遅れると、思わぬ支出が発生することがあります。代表的なのが、二重家賃の発生です。新旧オフィスの契約期間が重なる期間が長くなると、その分だけ家賃負担が増えます。
また、工事スケジュールの遅延によって、引越し業者や内装業者の追加費用が発生するケースもあります。
スケジュール策定のコツ
- 移転予定日の6〜8か月前から準備を始める
- 契約・設計・工事・引越しの4段階スケジュールを明確化
- 工期の余裕を確保し、トラブル対応時間を確保する
時間的な余裕をもつことで、コストだけでなく精神的な負担も大幅に軽減されます。
7. 費用を抑える5つの実践的ポイント

オフィス移転を効率的に進めるには、以下の5つの実践ポイントを押さえることが重要です。単なる「節約」ではなく、品質とスケジュールを両立させながら最適なコストを実現する視点が求められます。
1. 見積もりは3社以上から取得
価格だけでなく、施工内容・保証範囲・納期も比較する。同じ「内装工事」といっても、仕様や資材のグレードによって金額が大きく異なります。
複数の見積もりを比較することで、不必要な高額項目を発見しやすくなるほか、施工会社との交渉材料にもなります。
2. 業者をまとめて発注
内装・回線・引越しを一括依頼することで、重複費用や調整コストを削減。発注先を一本化することで、工程管理のミスが減り、スケジュールの遅延リスクも低下します。
特に中小企業の場合は、「オフィス移転ワンストップサービス」を活用することで、担当者の負担を大幅に軽減できます。
3. 什器・設備の再利用
不要什器は買取に出し、必要な家具のみ新調する。既存の什器をリペア・クリーニングして再活用することで、新品導入時の半分以下のコストに抑えられるケースもあります。
さらに、再利用を前提としたレイアウトを設計段階で検討しておくことで、引越し後の配置調整にかかる費用や時間も最小限にできます。
4. 居抜き物件の活用
既存の内装・設備を引き継ぐことで初期費用を大幅削減。特に、空調・照明・OAフロアなどをそのまま使える場合、1坪あたり10万円以上の削減効果が期待できます。
また、居抜き物件は工事期間が短いため、二重家賃の発生を防ぐことにもつながります。
5. 補助金・助成金の活用
東京都や自治体の支援制度(例:中小企業振興公社)で費用の一部が補助されるケースも。条件を満たせば、内装工事・IT設備導入・省エネ改修などに対して補助金を受け取ることができます。
公募期間や申請手続きに余裕を持って準備することで、予算にゆとりを確保しやすくなります。
これらのポイントを組み合わせることで、総額の15〜30%削減も現実的に可能です。
最も大切なのは「すべてを削る」ことではなく、必要な部分に的確に投資し、不要な支出を見極める力を持つことです。
8. まとめ

オフィス移転にかかる費用は、項目が多く複雑です。しかし、内訳を正確に把握し、複数見積もりを比較することで、コストを“コントロールできる支出”に変えることができます。
特に、原状回復・内装・通信・スケジュール管理の4つはコスト増の主要因。これらを早期に整理し、信頼できるパートナー企業と連携することで、安心かつ計画的な移転が実現します。
「移転はコスト」ではなく、「成長の投資」と捉え、戦略的に準備を進めることが、次のステージへの第一歩となるでしょう。
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