【契約】オフィス賃貸契約の基礎知識|初心者でも押さえるべき必須ポイント

1. オフィス契約は“理解して進めるか”で成果が大きく変わる

企業にとってオフィスは、単なる「仕事をする場所」ではなく、事業成長・採用力・ブランド力にも影響する重要な経営資源です。しかし、初めてオフィス契約を担当する総務・管理部門・経営者の方からは、「どこを比較すれば良いかわからない」「契約書が難しくて不安」という声が多く聞かれます。

オフィスの賃貸契約は、住宅とはまったく異なるルールで運用されています。費用項目も多く、契約条件も複雑なため、事前知識の有無によって、最終的なコストや条件が大きく変わる のが実情です。

だからこそ、契約前に基本構造やチェックポイントを理解しておくことが、「適切な判断」「無駄のないコスト」「トラブルのない運用」につながります。

本記事では、初めてオフィス契約を行う方でも迷わないよう、仕組み・費用・条文・契約フロー・注意点 を体系的に整理して解説します。これから物件探しや契約手続きを始める企業の方に、確かな判断材料となる内容をお届けします。
 

2. オフィス賃貸契約の押さえるべき5つの基本構造

オフィス契約の基礎は 「5つの要素」 を理解することから始まります。

ここを知らないまま物件を見ても、適切な判断はできません。

① 賃料

オフィスの賃料は 坪単価 × 坪数(面積) で計算されます。同じ広さでも、ビルグレード・立地・築年数で坪単価は大きく変動します。また、賃料の交渉余地は物件によって大きく異なり、人気エリアは下がりにくく、反対に空室が多いビルは交渉しやすい傾向があります。

賃料は毎月発生するため、企業の固定費としてのインパクトが最も大きい項目であり、長期的な視点で適正価格を見極める必要があります。
 

② 共益費(管理費)

共益費は、ビルの維持管理・エレベーター・清掃・警備など、建物全体のサービス提供にかかる費用です。

実はこの共益費、一見すると小さく見えますが、賃料に匹敵するほど金額が大きいビルも多い ため注意が必要です。例えば、賃料は安く見えるのに、共益費が高く設定されているため総額では割高、というケースも珍しくありません。

物件比較の際は 賃料+共益費の合計額 で判断することが必須です。
 

③ 契約期間

オフィス賃貸契約には、主に以下の2種類があります。

  • 普通借家契約:更新前提の一般的な契約

  • 定期借家契約:更新がなく、期間終了で契約が確定的に終了する

近年は、ビルオーナー側のリスク管理の観点から定期借家契約が増加傾向 にあります。

契約期間が短ければ柔軟性は高まりますが、長期契約のほうが賃料交渉がしやすいこともあります。移転予定や事業計画を踏まえて、自社に合った期間設定を把握しておくことが重要です。
 

④ 更新料

オフィス契約では、更新時に 賃料の1か月分 を求められるケースが一般的です。地域やビルによっては更新料が発生しない場合もありますが、更新料の有無や金額は、将来的な総コストに大きな差を生みます。

例:
賃料が40万円・更新料1ヶ月分 → 更新時に40万円の追加コスト
5年間の契約なら、2回更新で合計80万円が加算される計算です。

更新料は長期的な支出計画に直結するため、早い段階で必ず確認しておきましょう。
 

⑤ 保証金(敷金)

オフィス賃貸で最もインパクトが大きいのがこの保証金です。一般的には 賃料の6〜12か月分 が相場ですが、ビルや立地によっては15か月分を求められるケースもあります。

保証金は原則として退去時に返還されますが、返金される金額は 原状回復費・未払い賃料など で差し引かれます。原状回復費用が高額になった場合、返金額が大幅に減ることも珍しくありません。

保証金はキャッシュフローに大きな影響を与えるため、事前に「いくら預けるのか」「どの程度戻るのか」を把握しておくことが重要です。
 

3. 初期費用の内訳と入居前に必ず確認すべきポイント

オフィスを契約するとき、初期費用の総額は家賃の10〜15か月分になることも珍しくありません。「予算内に収まったと思ったのに、初期費用が想定以上だった」という失敗は非常に多いです。

ここでは、初期費用を構成する代表的な項目を整理します。

保証金(敷金)

オフィス初期費用の中心となるのが、この保証金(敷金)です。一般的に 賃料の6〜12か月分 が相場で、高額なビルでは15か月分を求められるケースもあります。

保証金は退去時に返還されるものの、原状回復費用や未払いが差し引かれるため、満額返金されるとは限りません。

確認すべきポイント

  • 返金条件は?

  • 原状回復の基準は?

  • 減額対象となる項目は?

特に原状回復は後ほど大きなトラブルにつながるため、必ず契約前に、「どこまで戻す必要があるか」 を明確にしておきましょう。

前家賃・日割り家賃

オフィス契約では、契約月の賃料を 前払い する形が一般的です。月途中で契約開始する場合は、日割りで計算されます。

確認すべきポイント

  • 契約開始日はいつが得か?

  • 工事期間中の賃料の扱いは?
    (工事期間も賃料が発生するビルもあるため要注意)

契約開始日次第で余計なコストが発生する場合もあるため、工事スケジュールと合わせて日程調整を行うことが重要です。
 

仲介手数料

不動産会社を介して契約する場合、仲介手数料として 賃料1か月分+消費税 を支払うのが一般的です。

最近では、貸主が仲介会社に手数料を負担するケースもありますが、すべての物件で適用されるわけではありません。

確認すべきポイント

  • 仲介手数料は誰が負担するか?

  • 仲介会社と管理会社は別か?

  • 複数の仲介に重複して依頼していないか?

複数社に問い合わせると重複案内になり、対応が複雑になることがあるため注意が必要です。

火災保険料

オフィス入居者は、火災保険への加入が必須です。
補償範囲や保険金額により金額は異なりますが、数万円〜十数万円程度が相場となります。

確認すべきポイント

  • 補償範囲(設備・備品・什器など)

  • 免責金額

  • オプションの必要性(地震保険など)

保険内容を理解しておくことで、万一のトラブルでも安心して対応できる体制が整います。

鍵交換・名板作成費

オフィスビルによっては、入居時に 鍵交換費用エントランス名板の作成費 が必要になります。

金額は数万円程度が多いですが、入居規模によっては負担額が大きくなることもあります。

確認すべきポイント

  • 鍵は何本まで支給されるか?

  • 追加鍵の費用は?

  • 名板デザインの作成方法(指定業者か自由か)

こうした細かい費用の積み重ねが初期費用を大きく押し上げる原因となるため注意が必要です。


これらを正しく把握しておけば、“総額はどれぐらいか” が明確になり、契約の早い段階で正確な判断を下せるようになります。

オフィス契約における初期費用は、最も誤解が多い領域でもあり、最もトラブルが起きやすい領域です。だからこそ、契約前に丁寧に理解しておくことが重要です。
 

4. 賃貸契約書で特に重要な条文

契約書は読みづらく、専門用語も多いため見落としが発生しがちです。しかし、後のトラブルの多くは 契約書で事前に確認していれば防げた内容 ばかりです。

ここでは、必ず目を通すべき重要条文を紹介します。

原状回復義務

退去時の負担範囲を決める最重要項目です。原状回復義務とは「退去時に入居前の状態に戻す」内容ですが、その基準はビルごとに大きく異なります。

間仕切り撤去・床材の張り替えなどの範囲が曖昧だと、退去時に高額な請求につながるため必ず事前確認が必要です。

中途解約条項

契約期間内に解約する際の条件を定めたのが中途解約条項です。「6か月前告知」などのルールを知らずに移転を進めてしまうと、余分な賃料負担が発生します。事業拡大・縮小の可能性がある企業は特に要確認です。

用途制限

オフィス契約には“利用してよい業務”が明確に定められています。物販・来客が多い業態・撮影などが禁止されるケースもあります。

事業内容が用途制限に抵触すると契約違反になる可能性があるため、事前の確認が不可欠です。業務内容によっては必ず確認が必要です。

内装工事・看板設置の制限

工事内容によってはビル側の承認が必要です。電気容量や消防設備の制限で、希望のレイアウトが作れないケースもあります。

契約書は必ず不動産会社や専門家と一緒に確認し、不明点は事前にクリアにしておきましょう。

騒音・振動・臭気に関する規定

多くのビルでは、音・振動・匂いに関する細かいルールがあります。大人数イベントの制限、機材使用の禁止なども含まれる場合があります。

特にクリエイティブ業種や来客が多い企業は要注意です。業務上問題がないかを契約前にチェックしましょう。

看板・サイン設置ルール|企業の顔に関わる重要項目

看板・サインの大きさ、デザイン、設置場所に制限があるケースが多いです。指定業者以外では制作不可というビルも存在します。

来客が多い企業ほどブランディングに直結するため、設置ルールは必ず早い段階で確認しておきましょう。


契約書は複雑ですが、内容を正しく理解することで不要なコストや後から生じるトラブルを確実に防ぐことができます。

とくに、原状回復・中途解約・工事制限の3点は最重要項目です。疑問点は曖昧なままにせず、必ず契約前に確認を行いましょう。
 

5. 内覧〜申込〜契約までの流れ

オフィス賃貸契約は、以下の流れで進むのが一般的です。

各ステップのポイントを事前に把握しておくことで、判断ミスやスケジュール遅延を防ぐことができます。

① 内覧

内覧では、図面だけでは分からない 実際の使用感 を確認することが重要です。日当たり・眺望・騒音・周辺環境 に加え、電気容量・空調方式・給湯室・トイレの位置 など、日常業務に直結する設備も必ずチェックしましょう。

また、共用部の清掃状態や管理状況 は、ビル全体の質を判断する重要な指標です。「図面上では良かったが、実際は使いづらい」というケースは多いため、必ず現地確認を行うことが不可欠です。

② 申込(条件交渉)

内覧後、物件を正式に検討する場合は 申込書(入居申込書) を提出します。この段階で、賃料・共益費・契約開始日・フリーレントの有無 など、条件交渉を同時に行うのが一般的です。

申込は「仮押さえ」の意味合いを持つため、同時進行で他物件を検討できなくなる場合 もあります。そのため、申込前に社内で 優先順位や条件の整理 を行っておくことが重要です。

③ 与信審査

申込後、ビルオーナーによる 与信審査 が行われます。これは、入居企業の 経営状況・支払い能力・事業内容 を確認するプロセスです。

審査では、会社概要・登記簿謄本・決算書(直近1〜2期分) の提出を求められることが一般的です。審査期間は数日〜1週間程度が多く、ここで問題がなければ契約へ進みます。

④ 契約締結

与信審査が通過すると、賃貸借契約書の締結 に進みます。契約書の内容は、原状回復義務・中途解約条項・工事制限 など、将来のコストや運用に直結する重要事項が含まれます。

内容を十分に確認したうえで、署名・捺印 を行い、同時に 初期費用の支払い を実施します。不明点はこの段階で必ず解消し、曖昧なまま契約しないことが重要です。

⑤ 引渡し(鍵渡し)

契約開始日になると、鍵の引渡し が行われ、正式に物件を使用できる状態になります。この日以降、内装工事・レイアウト工事・引越し作業 が可能となります。

ただし、ビルによっては 工事可能時間や曜日の制限 があるため、事前確認が必要です。引渡し後は、管理会社との連絡体制を整え、スムーズな入居準備を進めましょう。
 

6. 失敗しやすいポイントと回避策

以下のような“よくある失敗”を理解しておくことで、余計な出費やトラブルを未然に防ぐことができます。

よくある失敗例

失敗例

主な原因

回避策

想定よりコストが高い

共益費や原状回復費の見落とし

総額で比較し、原状回復の基準を確認する

レイアウトが組めない

電気容量と設備制限の確認不足

工事会社と事前に現地調査を行う

すぐに移転できない

契約期間や中途解約条項の理解不足

契約前に期間と条件を明確にする

トラブルが発生

契約書の読み飛ばし

不明点は事前に必ず問い合わせる

失敗事例から学ぶことで、契約時の不安を大幅に減らすことができます。
 

7. 契約する時に確認すべきチェックリスト

契約前に必ず確認しておきたい項目をまとめました。
そのままコピーして利用できます。

【法的・契約】

□原状回復義務の範囲

□中途解約の条件

□用途制限

□更新料の有無

【インフラ】

□電気容量

□空調方式

□通信インフラ・光回線

□給排水設備

【コスト】

□賃料+共益費の総額

□初期費用の総額

□更新料

□駐車場費用

【ビル運用・利便性】

□ビル管理体制

□セキュリティ

□営業時間・空調稼働時間

□エレベーターの台数


これらの項目を押さえることで、契約後の想定外を限りなくゼロに近づけることができます。
 

8. まとめ

オフィス賃貸契約は、表面的な条件だけで判断すると、後から思わぬ費用や制約が生じるリスクがあります。契約書の構造、初期費用の内容、原状回復義務や中途解約条項など、重要ポイントを体系的に理解することが、安心してオフィス運用を続けるための前提となります。

また、事業の成長段階に応じた柔軟な判断を行うためにも、専門家への相談や事前調査は欠かせません。要点をしっかり押さえた上で契約を進めることで、長期的に安定したオフィス環境を構築できるでしょう。

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