【設計】オープンミーティングスペース活用術|打合せの機動力を上げるレイアウト

1. オープンミーティングスペースが注目される理由

働き方が多様化し、チームのコミュニケーションがスピードと柔軟性を求められるようになった今、オープンミーティングスペースの重要性は大きく高まっています。

従来の会議室は、予約制で柔軟性が低く、ちょっとした相談や短時間の打合せには不向きでした。一方でオープンスペースは、必要なときにすぐ使える「機動力の高い打合せ場所」として機能し、意思決定のスピードを高めます。また、部署を越えた偶発的な交流や、情報共有の促進にもつながり、組織のコミュニケーション活性化に寄与します。

デジタル化・ハイブリッドワークの進展により、従来型の会議室だけでは対応しきれない働き方が増えていることから、企業はオープンスペースの価値を再評価し始めています。短時間・高頻度の打合せが増えるほど、オープンスペースは生産性向上の起点となる存在です。

本記事では、こうしたオープンミーティングスペースを効果的に活用し、打合せの機動力を高めるためのレイアウトや運用のポイントを解説します。
 

2. オープンミーティングスペースの基本要素を理解する

オープンミーティングスペースは、単に“開けた場所に椅子とテーブルを置く”だけでは効果を発揮しません。最適に機能させるためには、レイアウト・什器・用途設計・運用ルールといった複数の要素を組み合わせ、体系的に設計する必要があります。

ここでは、どの企業でも共通して押さえるべき基本要素を整理します。

(1)「すぐ相談できる距離感」をつくるレイアウト

オープンスペースは、思い立った瞬間に利用できる距離感が最も重要です。執務席から近すぎると騒音となり、遠すぎると使われなくなるため、適切なバランスを見極めることが求められます。

特に、チーム単位での小規模相談が多い企業では、執務エリア脇の“半開放ゾーン”を設定することで、「移動1分以内で使える」ミーティング環境をつくれます。

(2)打合せのスタイルに応じた家具選定

ミーティングの目的や人数に応じて家具を使い分けることが、オープンスペースの機能性を左右します。スタンディングテーブルは短時間相談に向き、ソファ席は長めのブレストに適しています。

家具のバリエーションを持つことで、社員は用途に合わせて自然に場所を選択でき、打合せの生産性と快適性が同時に向上します。

家具と用途の対応表

家具種類

主な用途

特徴

スタンディングテーブル

5〜10分のクイック相談

短時間化・高回転に強い

モバイルチェア&テーブル

2〜4名の打合せ

レイアウト変更が容易

ソファセット

ブレスト・内省的議論

リラックス効果でアイデア促進

可動式パーティション

半個室化

視線・音を調整できる

(3)集中と開放のバランスを整える

オープンスペースは開放的である一方、集中しにくい環境になりやすいという弱点があります。これを補うためには、視線や音を適度にコントロールする工夫が不可欠です。

フェルト素材のパネルや観葉植物を使うことで、遮蔽しすぎない“ちょうどよい囲い”をつくることができ、開放感を保ちながら話しやすい雰囲気を実現できます。

(4)利用のしやすさを左右するツールの配置

ホワイトボードや大型モニター、筆記具がすぐに使える環境は、オープンスペースの利用頻度を大きく伸ばします。
ツールが遠い場所にあるだけで、社員が利用を控えることも珍しくありません。

ツールは「使いたい瞬間に手が届く距離」に配置し、特にホワイトボードは可動式にすることで、柔軟な議論を支える有効なアイテムになります。ツールの“即時利用性”はスペース価値を決める核心要素です。
 

3. オープンミーティングの種類と最適な配置とは

オープンスペースと一口に言っても、企業によって使われ方は大きく異なります。ここでは、代表的な3つのタイプを整理します。

(1)クイックミーティング型

2〜3名が短時間で相談することを想定したスペースで、立ち会話が中心となります。スタンディングテーブルを配置することで着席時間を短くし、意思決定を早める効果があります。

導線上に配置しすぎると雑音が増えるため、執務エリアに近い“少し奥まった場所”に設置するのが適切です。

(2)ブレスト・アイデア出し型

4〜6名で意見交換をするためのスペースで、ホワイトボードや可動パネルを用いることで思考を整理しやすくなります。

クリエイティブ業務の多いチームでは特に効果が高く、偶発的なアイデア創出が期待できます。

(3)チームミーティング型

複数チームの集合や定例会で使われるスペースで、可動式テーブルとモニターの組み合わせが有効です。

会議室ほどの密閉性は不要ですが、ある程度の半個室感を持たせることで、集中した話し合いができるようになります。
 

4. 打合せの機動力を上げるレイアウト設計のポイント

オープンミーティングスペースの価値を最大化するためには、単に“場所を設ける”だけではなく、動線、視線、家具の配置、周辺環境まで含めてレイアウトを最適化する必要があります。

ここでは打合せのスピードと質を同時に高めるために押さえるべきレイアウト設計のポイントを整理します。

(1)動線と視線の“抜け”を意識する

打合せスペースは、社員が自然に立ち寄れる“通りやすさ”と、集中できる“囲われ感”の両立が欠かせません。動線上に適度に配置することで利用頻度が上がりますが、通り道に近すぎると落ち着かない空間にもなります。

そこで、主動線から半歩ずれた位置に配置したり、パーテーションで視線を軽く遮るなどの工夫を取り入れることが有効です。「見えるけれど、混ざりすぎない」バランスが重要です。

(2)音と視線を調整するための“半個室性”をつくる

オープンな場でありながら、会話に必要な集中を保つには、適度な半個室性が必要です。フェルト材や吸音パネルを用いた囲いは、音の広がりを抑えるだけでなく、視線もカットし、心理的に話しやすい環境をつくります。

特に、頻度が高いクイックミーティングでは、音が漏れすぎない環境を整備することで、スペースが常に使われ続ける状態を維持できます。“開放と遮蔽の中間”が最も利用しやすい形です。

(3)レイアウト別の最適な設置モデル

企業の働き方や空間構造に応じて、オープンスペースはさまざまなレイアウトが検討できます。以下は代表的なモデルとその特徴をまとめたものです。

レイアウトモデル比較表

レイアウトタイプ

特徴

向いている用途

ポイント

島型(アイランド型)

中央に什器を配置

クイック相談

回遊性が高く立ち寄りやすい

壁面沿い配置

背後の動線が限定

アイデア出し

視線が安定し集中しやすい

角配置(コーナー型)

半個室感が得やすい

4〜6名の議論

音漏れを抑えやすい

分散型

各所に小単位で設置

多様な小ミーティング

利用頻度を上げやすい

このように、目的や働き方に応じてレイアウトを選ぶことで、空間全体の使われ方が大きく変わります。

(4)レイアウトに柔軟性を持たせる什器配置

可動式家具やキャスター付きテーブルを採用すると、人数やテーマに応じてレイアウトを瞬時に変更できます。
チームごとに働き方が異なる企業では、この柔軟性がとても大きな価値を生みます。

また、可動式什器は空間利用率を高めるため、同じ面積でも「複数用途に対応できる高効率スペース」へ変化させられます。固定什器中心の空間よりも、稼働率と満足度が高くなる傾向があります。
 

5. 家具選定と什器配置でスペース価値を最大化する

オープンミーティングスペースは、選ぶ家具や什器の種類によって使われ方が大きく変わります。家具は単なる“物”ではなく、空間の使われ方をデザインするための重要なツールです。

適切な選定と配置を行うことで、スペースの稼働率と生産性を大きく高めることができます。

(1)短時間ミーティングにはスタンディングテーブル

スタンディングテーブルは、座る動作を省略することでミーティングの開始・終了がスムーズになり、短時間で意思決定したい場面に最適です。立ったままの姿勢は集中力を高め、議論をダラダラ続けない効果も期待できます。

また、スタンディング形式は“ちょっと相談したい”シーンを自然に生み出し、気軽なコミュニケーションを促進します。執務エリアの近くに設置することで、利用頻度はさらに向上します。

(2)柔軟な利用にはキャスター付き家具が有効

キャスター付きテーブルやチェアは、人数や目的に応じてレイアウトを瞬時に切り替えられ、変化の多い働き方に非常にフィットします。特にプロジェクト型の組織や、チームごとに働き方が異なる企業で効果を発揮します。

このような可動式什器を揃えると「集まる・離れる・広げる」といった空間操作が容易になり、スペースが固定的に使われなくなるため、結果として稼働率が飛躍的に上がります。空間価値の最大化を考えるうえで、最も投資効果が高い取り組みの一つです。
 

6. 使われないオープンスペースの問題点と改善策

オープンミーティングスペースは設置しただけでは必ずしも活用されません。「使われない」「ただの通路や休憩所になってしまう」というケースは多く、その原因を明確にしなければ改善につながりません。

ここでは “問題点 → 具体的な改善策” の流れで整理し、実際に使われるスペースへ転換するためのポイントを示します。

(1)問題点①:利用目的が曖昧で、使い方が想像できない

利用者が「何人で使うのか?」「どんな打合せに向いているのか?」をイメージできない場合、スペースは放置されがちです。家具の種類や配置が目的に合っていないと、社員はその場所を“自分の業務と関係ないエリア”として認識してしまいます。

■ 改善策:用途別ゾーニングと視覚的な案内を整備する

用途に応じてゾーンを明確に分け、スタンディング、ソファ席、ブレスト用など違いが一目でわかるようにします。サイン表示を付けるだけでも利用率は大幅に改善します。

また、ホワイトボードやモニターなどのツールを置くことで、社員が「ここは議論する場所だ」と直感的に理解できるようになります。

(2)問題点②:場所が悪く、社員が使いにくい

オープンスペースが執務席から遠かったり、動線から外れすぎている場合、社員は「わざわざ行くほどではない」と感じてしまいます。逆に人通りが多すぎる場所も、落ち着かなさから利用を避けられる傾向があります。

■ 改善策:行動観察と動線分析による適切な配置

社員が自然に立ち寄る場所を分析し、動線の“流れ”と“溜まり”を踏まえて配置します。コピー機付近や執務エリア脇など、自然に人が行き交う場所に設置すると利用されやすくなります。

また、通行量が多すぎる場所にはパーテーションを置き、半個室感を加えることで落ち着いて話せる環境をつくれます。

(3)問題点③:音・視線の問題で落ち着いて話せない

周囲の雑音や視線が気になると、社員はミーティングを避け、静かな会議室を優先してしまいます。特にオープンスペースは音が広がりやすく、隣の会話が気になるという声が多く見られます。

■ 改善策:吸音対策と“囲い”を使った半個室化

吸音パネルやフェルトパーテーションを設置することで、音の反響と漏れを抑えることができます。また、囲いを高くしすぎない半個室構造にすることで、開放感を残しつつ集中できる空間を実現できます。

植物や什器を使ったナチュラルな仕切りを採用することで、視線の負担も減らすことができます。

(4)問題点④:ツールが不足していて議論が深まらない

ホワイトボードが遠い、モニターが使いにくい、ペンがないといった“ちょっとした不便”が重なり、スペースが使われなくなるケースは非常に多いです。

■ 改善策:ツールの“即時利用性”を高める配置にする

必要な時にすぐ手が届く距離にホワイトボードやペンを置くことが重要です。モニターは可動式にすると、議論のスタイルにあわせて自由に位置を変えられます。

ツールが整っているだけで、社員は自然と議論を始めるようになり、スペースの利用率は劇的に向上します。
 

7. オープンミーティングを文化として定着させる方法

オープンミーティングスペースは、つくるだけでは十分に活用されません。企業文化として定着させることで初めて、意思決定のスピード向上やコミュニケーション活性化といった効果が最大化されます。

ここでは、社内に根付かせるための運用面のポイントを整理します。

(1)利用ルールをシンプルに設定する

オープンスペースは、ルールが複雑になるほど利用されなくなります。「短時間の打合せ専用」「予約不要」「10分で切り上げる」といった明確で簡潔なルールを設けることで、社員は戸惑うことなく利用できます。

また、ルールを可視化して掲示することで、新しく利用する社員でも迷わず使える環境が整います。ルールを固定しすぎず、利用状況を見ながらアップデートする柔軟さも重要です。

(2)可視化されたツールを配置する

ホワイトボード、モニター、付箋、タイマーなど、議論に必要なツールがすぐに手に取れる環境を整えることで、会話が自然と深まりやすくなります。道具が整っているだけで、場所の“使いやすさ”が大きく変わります。

特にタイマーやカウンターの配置は、短時間で議論をまとめる文化づくりに役立ちます。可視化されたツールは、オープンミーティングへの心理的ハードルを下げる重要な要素です。
 

8. まとめ

オープンミーティングスペースは、単なる「オープンな打合せ場所」ではなく、組織の意思決定スピードとコミュニケーションの質を高めるための重要な仕組みです。レイアウト、家具、ツール、動線といった複数要素が適切に組み合わさることで、短時間の相談が活性化し、部門横断の連携も生まれやすくなります。

一方で、目的が曖昧だったり、配置やツールが不十分だったりすると、せっかく設けたスペースも利用されないまま形骸化してしまいます。だからこそ、利用目的の明確化・適切な配置・使いやすい什器選定・シンプルな運用ルール といった要素を体系的に整えることが欠かせません。

オープンミーティングが自然に行われる環境は、企業にとって大きな競争力となります。継続的な改善と運用設計を通じて、組織全体の生産性とコラボレーションを高める“使われるオープンスペース”を実現していくことが重要です。

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