【立地】「駅直結・駅近」は本当に必要か?|立地が採用・売上に与える影響

1. 企業が「駅近」にこだわる理由を改めて考える

多くの企業がオフィス選定において「駅直結」「駅徒歩3分以内」といった条件を重視します。

これは通勤負担の軽減はもちろん、来訪者の利便性、社員の働きやすさ、周辺環境の充実など、総合的なメリットがあるためです。

しかし、働き方の多様化やリモートワークの普及が進む現在、従来の「駅近至上主義」が本当に最適なのかは、企業によって見直す余地があります。

場合によっては、駅距離を見直すことでコストを削減し、より働きやすく生産性の高い環境を創れるケースもあります。

立地は企業ブランドにも影響し、候補者や顧客が企業をどう認識するかを決める要素でもあります。

本記事では、駅近オフィスの本当の価値と、企業が立地をどのように捉えるべきかを多角的に解説します。
 

2. 駅直結・駅近がもたらすメリット

駅近オフィスには多くの利点がありますが、その全てが企業にとって本当に必要な要素なのかを見極めることが重要です。

(1)通勤負担を軽減し、社員満足度を高める

駅近オフィスは、社員にとって最もわかりやすい“働きやすさ”の要素です。
移動負担が減ることで、日々のストレスが軽減され、モチベーションや定着率にも良い影響を与えます。

<駅近が社員に与えるプラス要素>

  • 天候の影響を受けにくく、通勤ストレスが軽減される

  • 移動時間が短く、朝の余裕が生まれる

  • 帰宅しやすいため、ワークライフバランスが整う

  • 駅からの距離が短いほど、毎日の疲労が蓄積しにくい

こうした小さな利便性の積み重ねは、社員満足度や離職率に直結する“継続的な価値”を生み出します。

(2)来客対応のしやすさが営業効率に影響する

来客が多い企業において、駅近の利点は営業活動の質を大きく左右します。
アクセスしやすいことは、顧客側の心理的ハードルを下げ、訪問数や商談数の増加につながるからです。

さらに、訪問しやすいオフィスは企業の信頼性や安心感にも直結し、スムーズなコミュニケーションの後押しをします。
来客負担の軽減=商談機会の最大化という点で、駅近は強力な営業資産といえます。

(3)採用活動において“企業の第一印象”を高める

採用候補者が最初に接する情報の多くは「オフィスの立地」と「アクセスの良さ」です。
特に若手・Z世代は、通勤ストレスや利便性に敏感であり、駅から遠いオフィスはそれだけで敬遠されることもあります。

そのため、駅近は「応募者の母集団を広げる」「来社率を上げる」「企業の印象を良くする」といったプラス効果をもたらします。
採用面接のドタキャンが減る、候補者が迷わず到着できる、印象が良くなるなど、選考プロセス全体でポジティブに働く要素が多く含まれています。
 

3. 駅近オフィスのデメリット

メリットが多い駅近ですが、代わりに無視できないデメリットも存在します。

そのバランスを見誤ると、コストや運用面で不利になることがあります。

(1)賃料が高く、面積が圧縮されやすい

駅直結・駅前の物件は人気が高く、賃料が相場より大きく割高になる傾向があります。
そのため、同じ予算でオフィスを検討すると面積が小さくなりやすく、窮屈なレイアウトになりがちです。

結果として、会議室不足や席数の不足、集中ブースの欠如など、働きやすさが低下するケースも発生します。

(2)ビルスペックが古い場合、運用コストが高くなりがち

駅から近いビルは築年数が古い物件が多く、空調・防災・OAフロアなどの設備が最新基準ではないことがあります。
これにより、光熱費や管理費が割高になり、長期的には新築ビルよりコストが高くなることもあります。

駅近という利便性が、かえってコストと機能性を損なう要因となる場合もあるため注意が必要です。

(3)混雑や周辺環境によるストレスが発生しやすい

駅近エリアは人通りが多く、昼食時の混雑・エレベーター待ち・駅周辺の騒音など、社員のストレス要因が増えやすい環境でもあります。
特に高層ビルの場合は、朝夕のエレベーター渋滞が業務効率に影響することも少なくありません。

さらに、駅前は店舗やオフィスが密集しているため、周辺物件との視認性に差が出にくく、「企業らしさ」が外観で伝わりにくいというブランド面の課題もあります。
 

4. 働き方の変化が「立地の価値」を変えている

リモートワーク、オンライン会議、ハイブリッド勤務の普及により、従来の「駅近が最優先」という考え方は大きく見直されつつあります。

立地の価値基準は、“通勤距離の短さ”よりも、働き方と空間価値の整合性へとシフトしています。

(1)出社頻度が減ると“駅近の必然性”が薄れる

週1〜3日の出社が当たり前になった企業では、駅からの距離が多少伸びても実務上の負担は大きくありません。
それよりも、オフィスの快適性・広さ・設備レベルが、働きやすさに直結するようになっています。

<駅近でなくても問題が減ってきた理由>

  • 出社回数が少なく、移動負担の影響が限定的になっている

  • オンライン業務が中心となり、広い集中スペースの方が生産性に直結する

  • ハイブリッド勤務により、座席数や会議室の確保が柔軟性の方が重要

  • 遠方から働く社員も増え、駅距離より在宅環境との連動性が重視される

つまり、従来の通勤前提での立地選定が、今の働き方には必ずしも合致しなくなってきています。

(2)オンライン商談・面接が増え、アクセスの重要度が低下

営業活動や採用面接のオンライン化により、来客頻度が減少しています。これにより、駅近であることによる営業効率のメリットも相対的に薄れつつあります。
立地は依然として重要な要素ではありますが、オンラインとのバランスを見ることで、必須要件ではなく“選択肢の一つ”として扱えるようになりました。

(3)立地価値は“物理距離”から“空間体験”へシフトしている

働き方が変化したことで、立地の価値は単なる距離ではなく、オフィスが提供する体験と直結するようになっています。

<特に重視されるようになったポイント>

  • 社員がストレスなく働ける広さとレイアウト

  • オンライン業務向きの音環境・設備の充実

  • 安全性や落ち着きなど、周辺環境がもたらす心理的安心感

  • 企業ブランディングに合った街区やビルの雰囲気

これらの要素は駅からの距離以上に、社員の満足度・企業の印象・業務パフォーマンスに影響を与えます。

つまり、立地価値は 「駅距離=正義」から「空間価値=成果」へとパラダイムシフトしている といえます。
 

5. 駅距離を伸ばすことで得られるメリット

駅近を条件から外すことは、多くの企業にとって新たな選択肢を広げます。駅距離を伸ばすことで、メリットが増えるケースも少なくありません。

(1)広いスペースを確保しやすくなる

駅から5〜10分離れたエリアは賃料が下がり、同じ予算でも広い面積を確保しやすくなります。
これにより、会議室の増設、ラウンジの確保、集中スペースの増加など、社員の働きやすさを向上させる要素を取り入れやすくなります。

働き方の多様化が進む中、空間効率よりも「広さと快適性」を重視する企業が増えています。

(2)新築ビルや高スペック物件を選べるようになる

駅距離があるエリアには、新築物件や設備レベルの高いビルが多く、最新の空調や耐震性能、セキュリティを備えた環境を選びやすくなります。

これにより、光熱費・管理費の効率化につながり、長期的な経営効果を期待できます。
 

6. 採用への影響は“距離”ではなく“体験”で決まる

採用の観点では、駅からの距離よりも、オフィスに来たときの体験が候補者の印象を左右します。

(1)オフィスのデザイン性や雰囲気が優先される傾向

候補者は駅距離よりも、オフィスの清潔感・デザイン・雰囲気を重視する傾向があります。

視覚的な魅力や居心地のよさは、企業イメージに直結します。
駅近でアクセスが良くても、狭く暗いオフィスでは採用に不利になることもあります。

(2)距離の不便さを補う“好印象の導線づくり”が重要

たとえ駅から7〜10分であっても、道中がわかりやすく、建物や周辺環境に安心感があると、候補者は不便さを気にしません。

周辺のカフェ、通りの雰囲気、入口のわかりやすさなど、立地全体の体験設計が採用に影響します。
 

7. 売上への影響は業種によって大きく変わる

立地が売上に与える影響は、業種・ビジネスモデル・来客頻度によって大きく異なります。

すべての企業に駅近が必要なわけではなく、求められる立地価値は事業内容によって変化します。

ここでは、業種別の“立地と売上の関係”を整理します。

(1)来客が多い業種は“アクセスの良さ”が武器になる

顧客が頻繁に訪問する業種では、駅近の利便性がそのまま売上機会に直結します。アクセスが悪いと来社数が減り、商談数や成約率が下がるケースも珍しくありません。

以下の表は、業種別に「アクセスの重要度」と「駅近で得られる効果」をまとめたものです。

業種別:アクセスの重要性と影響度(例)

業種区分

アクセス重要度

駅近による主な効果

士業(弁護士・税理士など)

非常に高い

顧客来社数の増加・信頼性向上

不動産仲介・BtoB営業

高い

商談機会の最大化・訪問のしやすさ

店舗型サービス(美容・医療等)

非常に高い

集客力向上・売上の安定

IT企業・制作会社

中程度

アクセスよりも空間品質が重要

オンライン完結型ビジネス

低い

立地より設備・生産性が重視

来客依存型の企業は、アクセスの良さが売上に直結する“経営上の重要要素”となることがわかります。

(2)オンライン中心の業種は立地より空間品質が重要

オンライン会議やリモートワークが中心となる業種では、駅近である必要性は大きく低下します。むしろ、広さ・静音性・執務環境などが業務効率や成果に直結します。
たとえばIT企業やクリエイティブ企業では、社員が集中しやすい空間や高い設備スペックを確保できる場所の方が優先度は高く、駅近よりも“空間価値”が評価されます。

特にZ世代や専門職が多い組織では、「アクセスより働きやすさを重視する」傾向が強く、少し駅から離れていても魅力的なオフィスの方が採用・定着に有利に働きます。

(3)企業の成長フェーズによって立地価値は変動する

立地の最適解は、企業の成長段階によっても変化します。

  • 創業期:駅近で採用・営業を強化しやすい環境が有利

  • 成長期:席数や会議室を増やせる“広さ”が最優先

  • 成熟期:ブランド価値・街区イメージ・周辺環境が重視される

  • 安定期:固定費の最適化が課題となり、駅距離の見直しが発生

このように、企業フェーズごとに求められる立地条件は大きく異なります。
つまり、立地の価値は固定されたものではなく、「事業モデル × 成長段階 × 働き方」の組み合わせで最適解が変わる、非常に戦略的な要素だといえます。
 

8. まとめ

駅直結・駅近という条件は、利便性や印象の良さといった多くのメリットを持つ一方で、賃料の高さやビル機能の制約など、企業が見落としがちなデメリットも内包しています。

働き方が大きく変化した現在では、通勤のしやすさだけで立地を判断する時代ではなくなりました。

企業が立地を選ぶ際に重視すべきなのは「距離の短さ」ではなく、自社の働き方・業種特性・採用戦略・成長フェーズに合った価値を最大化できる場所かどうかという点です。

駅距離を広げることで広さや設備レベルを確保しやすくなり、結果的に生産性や採用力が向上するケースも増えています。

立地は企業の未来を左右する経営判断のひとつです。慎重な比較と目的に応じた選択を行うことで、オフィスはより高い成果を生み出す“戦略資産”として機能するようになります。

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