【費用】オフィス維持費を30%削減する方法|経営目線で見直す固定費

1. オフィス維持費を経営課題として捉える重要性

企業経営において、オフィス維持費は「必要経費」として固定化されがちですが、その内訳を丁寧に分解していくと、最適化の余地が非常に大きい領域であることがわかります。固定費は削減すればその分が長期的な利益として積み上がるため、経営効果が高いコストです。

しかし、オフィスは複数の費目が複雑に絡み合っているため、表面上の賃料だけを見直すだけでは30%削減は実現できません。

さらに昨今は、人件費・エネルギー価格・設備費が上昇し、オフィス維持費の負担は以前より重くなっています。だからこそ、経営視点でオフィスコストを体系的に捉え直すことが必要です。

本稿では、オフィス維持費の全体像を整理しながら、30%削減を達成するための具体策を8つの観点から解説します。
 

2. オフィス維持費の構造を理解する

維持費を削減するためには、まず「どの費用がどのように発生しているのか」を正しく把握することが欠かせません。

多くの企業では、賃料以外の費目がブラックボックス化しており、無駄が潜んだまま見逃されるケースが少なくありません。

(1)固定費:毎月必ず発生する費用の全体像

オフィス維持費の中心を占めるのが、賃料・共益費・電気代・通信費などの固定費です。これらは契約内容や設備仕様によって大きく左右されるため、正確な内訳を把握しないまま運用すると最適化の機会を逃します。

また、施設規模が大きいほど固定費の割合が高くなるため、中長期での削減効果も影響が大きくなります。

(2)変動費:使い方によって大きく変わる領域

清掃費・什器購入費・会議室利用料・コピー費など、変動費は企業の働き方によって上下する費目です。リモートワークの増減や席数の運用方法によっても変動するため、働き方改革と連動したコスト最適化が必要です。

特に、使われていないスペースや設備が多い会社では、変動費を見直すだけで大幅なコスト改善が見込めます。
 

3. 賃料・共益費の見直しが最も効果的な理由

オフィス維持費の中で最も削減効果が大きいのが賃料と共益費です。一般的に固定費全体の50%以上を占めるため、賃料を5〜10%削減できれば、維持費全体に大きく影響します。

(1)立地・規模の再検討が削減の第一歩

企業の成長ステージや働き方が変化しているにもかかわらず、当時の前提条件のまま同じオフィスを使い続けている企業は少なくありません。立地や規模の調整を行うことで、賃料負担を5〜20%削減できる可能性があります。

加えて、業務内容や出社率の変化に応じて面積を適正化すれば、光熱費や管理費にも波及効果が生まれ、総合的なコスト低減が期待できます。

(2)共益費はビル性能と比例するため見直し効果が高い

共益費はビルの設備仕様や管理体制によって大きく差が出ます。特に老朽化したビルでは、空調・エレベーター・警備システムなどの運用効率が低いため、共益費が高止まりしているケースが目立ちます。

同じエリア・同じ規模のビルでも、ビルを変更するだけで共益費が大幅に下がる例は珍しくありません。
そのため、賃料だけでなく共益費の比較検討を行うことで、長期的な負担減につながります。

(3)契約条件の見直しで長期的な負担を軽減できる

賃料や共益費は「相場で決まるもの」と思われがちですが、実際には契約条件の調整余地が大きく、交渉次第で固定費の圧縮が可能です。

たとえば、以下のような条件は見直し対象になります。

  • 賃料単価の調整(相場との差分が大きい場合は交渉可能)

  • 共益費の算定方法の確認(面積按分が適正かどうか)

  • フリーレント期間の設定

  • 中途解約条項の追加・緩和

  • 保証金の圧縮や返還条件の見直し

これらはすべて、企業のキャッシュフローに直接影響します。特に長期契約の場合、契約条件の改善は数年にわたり効果を生む“固定費削減の核心”となります。
 

4. オフィス面積の最適化でコストを大幅削減する

オフィス維持費を30%削減するために最も即効性があるのが、面積の最適化です。出社率や働き方が変化した現在、実際の利用実態を把握していない企業は、過剰なスペースを抱えているケースが少なくありません。

面積は賃料に直結するため、適正化できれば、年間コストに大きく影響する最重要施策となります。

(1)実際の利用率データに基づく面積再設計

多くの企業では、固定席時代の前提で面積を確保したまま運用を続けています。しかし、出社率の低下やハイブリッドワークの浸透により、座席利用率が30〜50%にとどまるケースも珍しくありません。

利用率データを収集・分析することで、“本当に必要な席数・会議室数”が明確になり、削減可能なスペースを可視化できます。特に、項目別の利用率を把握すると、「使われていない会議室が多い」「集中席が不足している」 といった実態が浮き彫りになり、効果的な面積最適化につながります。

(2)フリーアドレス導入で効率的な席配置を実現

フリーアドレスを導入すると、固定席の前提から離れて席数を最適化できるため、必要面積を大幅に圧縮できます。席数を従業員数の60〜80%に設定する企業も増え、コスト削減と柔軟な働き方の両立が可能となります。

また、フリーアドレスは空間の流動性が高まり、プロジェクト単位のチーム形成やコミュニケーションの活性化にも効果があります。重要なのは、席数だけでなく、「集中」「会議」「オンライン」「雑談」 といった働き方モードに応じたエリア配分を見直すことであり、これが面積の“無駄”を着実に減らすポイントです。

(3)会議室の適正化が大きな削減インパクトを生む

面積の過不足が最も多く発生するのが会議室です。実際には“空いているように見えて使われていない”状況が発生しやすく、ここを適正化するだけで大きな削減効果を得られる場合があります。

特に、以下のような調整は効果が大きい領域です。

  • 利用率の低い大・中会議室を縮小または撤去する

  • 少人数ミーティングに適した小会議室・オンラインブースを増やす

  • 会議室を多用途空間として兼用し、スペース効率を高める

  • AI分析により会議室利用の偏りを可視化し、配置を見直す

大規模会議室を維持している企業ほど、面積削減の“隠れたチャンス”が眠っています。
会議室の構成を見直すことで、賃料・光熱費の両面で削減効果が生まれます。
 

5. 光熱費・通信費の最適化で無駄な固定費を削減する

光熱費や通信費は、一つひとつは小さく見えても年間で積み上げると大きく、見直し効果が出やすい領域です。

オフィスの規模・働き方・設備仕様に合わせて最適化することで、固定費を継続的に削減できます。

(1)電気・空調の運用改善と設備更新の効果

電気料金は使用量とピーク時間帯によって大きく変動するため、照明のLED化や空調機器の効率改善はもっとも即効性のある施策です。特に、在席率が下がった企業では、従来通りの空調運転を続けているだけで大きな無駄が発生してしまいます。

また、築年数の古いビルは空調効率が悪いケースが多く、最新ビルへの移転や空調ゾーニングの見直しによって、年間の光熱費が10〜30%下がることも珍しくありません。

「部門別に空調を区切る」「人感センサーを活用する」など、運用面の改善と設備更新を組み合わせることで長期的な削減効果が期待できます。

(2)通信費はプラン見直しだけで削減可能

通信費は“気づかないうちに払い続けている”固定費の代表格であり、契約プランの見直しだけで改善できるケースが多くあります。たとえば、利用されていない固定回線や、過剰スペックのネットワーク契約、用途不明の携帯回線などがそのまま残っている企業は少なくありません。

また、リモートワーク導入前後で必要な回線数が変わっているにもかかわらず、旧プランのままで費用が膨らんでいる事例も多く見られます。実態に合わせた回線整理やプラン変更を行うことで、見落とされがちな通信コストを継続的に最適化できる点が大きなメリットです。

さらに、複数拠点を持つ企業では一括契約の見直しや安全性の高いクラウドツールの活用が、運用コストと管理負荷の両方の削減につながります。
 

6. 清掃・什器・管理サービス費の見直しで無駄をなくす

清掃・什器・管理サービス費は「目立たないコスト」ですが、年間で見ると大きな負担となる領域です。オフィスの使われ方が変わっているにもかかわらず、以前と同じサービス設計を続けている企業では、知らないうちに過剰コストを支払っているケースも少なくありません。

運用実態を丁寧に見直すことで、短期・中期のコスト最適化が同時に進みます。

(1)清掃頻度と範囲を最適化することが削減に直結する

リモートワークやフリーアドレス導入により、実際に使われるエリアと使われないエリアの差が大きくなっています。それにもかかわらず、全フロアを一律で清掃している企業は多く、これは削減余地の大きいポイントです。

在席率に応じて清掃対象を絞り込んだり、「毎日清掃」から「週数回清掃」へ頻度を変更したりすることで、運用コストを抑えることができます。また、トイレ・給湯室など主要スペースの品質は維持しつつ、利用機会の少ないエリアは頻度を下げるなど、メリハリのある設計が実務効果を高めます。単なる削減ではなく、利用状況に応じた合理的な清掃運用が重要です。

(2)什器の購入から“運用発想”へ転換し、コスト負担を軽減する

什器は一度購入すると長期間使うことが前提でしたが、働き方の変化が速くなった今は「使い続けるコスト」も無視できません。購入後の保管費用、レイアウト変更に伴う移動費用、不要になった際の処分費など、見えにくいコストが積み上がります。

そこで、レンタル什器やサブスクリプション型サービスの活用が有効となります。必要な期間だけ導入し、働き方や部署構成の変化に合わせて入れ替えられるため、初期投資を抑えつつ柔軟な運用が可能です。また、什器の統一によりメンテナンス負荷を下げるなど、運用観点からの最適化が中長期のコスト削減につながります。

さらに、家具の種類や配置を標準化することで、レイアウト変更の工数が下がり、間接的なコスト削減にも寄与します。
 

7. 原状回復費・更新料など、見落としがちな“非日常コスト”

オフィス維持費の中には、日常的には発生しないものの、長期的に見ると大きな費用インパクトをもたらす“非日常コスト”があります。これらは発生タイミングが読みにくいため、予算計画に組み込まれにくく、結果として企業のキャッシュフローを圧迫する原因になりがちです。

特に、原状回復費・更新料・保証金などは契約段階で注意を怠ると、退去時や更新時に大きな負担が発生します。早い段階から正確に把握することで、事前に削減策を講じることが可能となります。

(1)原状回復費の予測と削減策を事前に検討する

原状回復費は退去時に突然発生する大口支出の代表で、契約内容や施工範囲によって金額が大きく変わります。特に、造作の量が多いオフィスや、特殊な床材・ガラスパーティション・受付造作などを施している場合は、想定以上の費用になることがあります。

そのため、契約時点で「どこまでが原状回復の対象なのか」を細かく確認し、不要な造作を避ける、共用部と一体化しないデザインにするなど、将来の負担を軽減する工夫が必要です。事前に専門家に見積もりを依頼することで、退去時の費用リスクを事前にコントロールできる点も見逃せません。

(2)契約更新料や保証金も見直し対象

更新料や保証金は、契約更新や入退去時に発生する非日常コストですが、長期運用では見過ごせない費用です。特に保証金は物件やビルグレードによって大きく変わり、総額が数千万円〜数億円規模になる企業も珍しくありません。

更新のタイミングでは賃料交渉だけでなく、保証金の圧縮や返還条件の見直しも可能であり、これらを軽視するとキャッシュが長期間ロックされてしまいます。また、ビルオーナー側と早期に交渉することで、更新条件の改善や費用軽減につながる余地が生まれるため、計画的な見直しが不可欠です。

さらに、相場に比べて過剰な保証金を預けているケースもあるため、定期的に市場と比較することで適正化が図れます。
 

8. まとめ

オフィス維持費は、一つの施策だけでは30%削減を達成できません。賃料・面積・光熱費・通信費・清掃・什器・契約条件など、複数の費目を組み合わせて最適化することが成功の鍵となります。

また、働き方の変化に合わせて維持費を継続的に見直すことで、コスト最適化は「一度きりの削減」ではなく「経営効率を高める仕組み」へと進化します。オフィス維持費の削減は、企業の利益に直接貢献する最も効果的な経営施策のひとつであり、正しい方法で取り組めば大きな成果を生む領域です。

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