【移転】はじめてのオフィス移転ロードマップ|最初の3ステップで成否が決まる
1. オフィス移転の“最初の判断”がすべてを左右する
オフィス移転は、企業にとって大きな経営イベントです。単に「場所を変える」という作業にとどまらず、コスト構造、働き方、組織文化、採用ブランディングなど多方面に影響し、準備不足は移転コストの増大やスケジュール遅延、レイアウトの不整合といった問題を生みます。
そのため、オフィス移転の成否は、プロジェクト開始直後の“最初の3ステップ”で大きく決まると言われています。特に、初めて移転プロジェクトを担当する担当者にとっては、どこから手を付けるべきか見えづらいものです。
移転は専門性が高く、建築・不動産・設備・IT・法律・総務など、複数分野の知識が必要となるため、早い段階で正しいロードマップを描くことが欠かせません。本記事では、初めての担当者でも確実に進められる移転プロセスを体系的に整理し、特に移転成功の鍵となる「最初の3ステップ」の考え方を中心に解説します。
2. オフィス移転成功の鍵となる“最初の3ステップ”

オフィス移転では、初期段階の意思決定が後続工程に強い影響を与えます。
ここでは、移転成功の基盤となる3つのステップを整理します。
(1)移転目的と優先順位の明確化
移転を成功させるうえで、最初に行うべきは「なぜ移転するのか」という目的の整理です。目的が曖昧なまま進めると、物件選定・レイアウト・コスト管理などの判断に一貫性がなくなり、最終的に満足度の低いオフィスになる可能性があります。
例えば以下のような目的が考えられます。
- 人員増加に伴うスペース確保
- 働き方改革(フリーアドレス化、ABW導入)
- コスト最適化
- ブランド力の向上
- 採用力向上
- 事業拡大・再編に合わせた拠点戦略
これらを明確にし、「何を優先するか」を経営陣と合意形成することが第一歩となります。
(2)現状課題の可視化と必要面積の試算
目的が定まったら、自社の現状を正しく把握する作業が必要です。社員数・出社率・会議室不足・動線上の問題など、現状の使いづらさや将来の増員計画を整理し、必要な面積・機能を数値化します。
これにより、物件選定の基準が明確になり、過不足のないオフィス計画が立てられます。
(3)移転スケジュールとプロジェクト体制の設計
スケジュールは最初の段階で決めておくべき重要項目です。
一般的にオフィス移転には6〜12ヶ月以上かかるため、契約更新日から逆算して「いつ・誰が・何を行うか」を決める必要があります。特にIT・ネットワーク工事は長期化しやすいため、初期段階での体制構築が成功の鍵となります。
3. 物件選定で押さえるべき基本条件

移転目的と必要面積が明確になったら、物件選定に入ります。物件選定は移転プロジェクトの成否を大きく左右する工程です。立地・設備・コストなど、複数の要素を総合的に評価する必要があり、検討の浅さが後のレイアウトや運用に影響を及ぼします。
ここでは、選定段階で必ず確認すべき基本条件を整理します。
(1)立地とアクセスの利便性
立地は企業の活動効率や社員の働きやすさに直結するため、最も重視される要素のひとつです。単に交通アクセスが良いかどうかだけではなく、顧客訪問・採用力・ブランディングといった観点でも評価する必要があります。
また、エリア特性によって災害リスクや通勤のしやすさが異なるため、複数候補を比較しながら総合的に判断することが重要です。立地の選択は社員満足度にも強く影響し、移転後の定着率にも関わります。
(2)ビルスペックとBCP性能
ビルスペックは業務効率と安全性を支える基礎であり、特に耐震性・空調能力・電源容量などの要素は、日々の業務に直接影響します。制震・免震構造の有無や非常用電源の能力、通信インフラのバックアップなどは、BCP観点では欠かせないチェックポイントです。
また、天井高やフロア形状がレイアウト自由度に与える影響も大きく、働き方改革を予定している企業では特に重要になります。ビルの性能を数値で比較することが、後の後悔を防ぐポイントです。
(3)ランニングコストの総額
賃料だけに注目すると誤った意思決定につながるため、運用開始後のランニングコストも含めた総額で比較することが重要です。共益費・空調時間外費・原状回復費・セキュリティ運用費など、不動産契約特有の費用を事前に把握しておくことで、予算計画の正確性が高まります。
また、古いビルほど設備更新やメンテナンス費用が追加で発生するケースが多いため、長期的な視点で費用負担を見極めることが、無理のない移転計画につながります。
4. レイアウト設計で失敗しないためのポイント

レイアウト設計は、物件選定に次いで移転成功を左右する重要な工程です。オフィスの使い勝手や業務効率、コミュニケーション、ひいては企業文化まで影響するため、単なる配置計画ではなく“働き方を具現化するプロセス”として捉える必要があります。
ここでは、レイアウト設計で失敗しないために押さえるべき基本ポイントを整理します。
(1)業務動線の最適化
レイアウト設計において最も重視すべきは、部署間の連携や日常業務で頻繁に行き来する動線を適切に設計することです。動線が不自然なオフィスでは、移動時間が増えるだけでなく、コミュニケーションが分断され、業務効率が大幅に低下することがあります。
特に営業・管理部門・バックオフィスなど、連携の強い部署同士の位置関係は、作業効率だけでなく心理的な近さにも影響します。移転前のヒアリングや行動分析を行い、実態に即した動線計画を作成することが重要です。
(2)会議室・集中スペースの配置
オンライン会議の増加により、多くの企業が会議室不足を課題として抱えています。用途別に会議室を設計し、1〜2名のWeb会議用ブース、チームディスカッション用の中会議室、大人数向けの会議室などを最適配置することで、会議待ちによる業務停滞を防ぐことができます。
また、集中ブースや個室ワークスペースを確保することで、メリハリのある働き方が可能になり、生産性向上につながります。
こうした“働く場の種類を増やすこと”が、現代のオフィスレイアウトの重要な考え方です。
5. 内装工事・設備工事で押さえるべき実務事項

レイアウトが固まると、内装・電気・空調・ネットワーク工事のフェーズに入ります。
(1)工事範囲の正確な把握
工事では、内装業者・電気工事会社・ネットワーク業者・家具メーカーなど多くの関係者が入り、範囲定義が曖昧だと追加費用や工程遅延が発生しやすくなります。特にITと電気の境界は誤解が多い部分であり、早期に役割分担を明確にしておくことが重要です。
<押さえるべきポイント>
- 電源・LAN・Wi-Fi・配線ルートの担当範囲を明確化
- 壁・什器・家具の施工範囲と責任分担の整理
- セキュリティ設備(入退室・監視)の工事担当者の確定
- 追加費用が発生しやすい項目の事前洗い出し
- 消防・法令対応工事の要否を確認(音響・警報設備など)
(2)IT・ネットワークの早期着手
オフィス移転において、最も遅延しやすいのがネットワーク回線の手配とITインフラの構築です。回線の引き込み工事には時間がかかる場合が多く、申請遅れがそのまま“開業日にネットが使えない”という重大な問題に直結します。
IT領域は移転プロジェクトのクリティカルパスであると認識し、初期段階で着手する必要があります。
<押さえるべきポイント>
- インターネット回線の引き込み可否と工期の確認
- 既存オフィスからの機器移設範囲と代替機手配の検討
- サーバールームの電源容量・空調要件の事前チェック
- ネットワーク機器(ルーター・スイッチ)納期の確保
- Wi-Fiアクセスポイントの位置設計と電波調査の実施
6. 移転コストの全体像と削減のポイント

オフィス移転では、多岐にわたる費用が発生するため、早い段階でコスト構造を正しく把握することが重要です。賃料や保証金などのわかりやすい費用だけでなく、工事や什器、原状回復など“見えづらいコスト”が総額を大きく左右します。
全体像を把握することで、削減ポイントも明確になり、無理のない予算計画が立てられます。
(1)初期費用の整理
初期費用には、契約時に発生するものと、工事・什器などの準備段階で発生するものが含まれます。これらは一度に大きな金額になるため、早期に概算を把握しておくことが重要です。
また、地震対策やセキュリティ強化など、企業方針によって必要となるオプションもあるため、目的に応じた費用の優先順位付けが欠かせません。初期費用を正しく把握しておくことで、資金繰りや予算承認がスムーズになり、後半の工程での追加費用リスクを抑制できます。
(2)運用開始後のランニングコスト
オフィス運用が始まってからのランニングコストは、移転判断において見落とされがちな領域です。賃料や共益費に加え、空調時間外費用、清掃費、セキュリティ運用費、設備点検費用などが継続的に発生します。
特に古いビルでは修繕やメンテナンス頻度が上がり、長期的には高コストになるケースも珍しくありません。物件を比較する際には、少なくとも3年間程度のランニングコストを想定し、総保有コストとして評価することが、持続可能な移転計画につながります。
7. プロジェクト管理で失敗しないための注意点

オフィス移転は多くの部門や外部業者が関与する複雑なプロジェクトであり、管理の質が移転全体の成否を左右します。
特に初めて移転を担当する場合は、段取り不足や情報の抜け漏れが起こりやすく、後の工程で大きな影響を及ぼすことがあります。
ここでは、プロジェクト管理における重要な注意点を整理します。
(1)ステークホルダー全体への情報共有
移転プロジェクトには、経営陣、現場部門、総務、IT、法務、ビル管理会社、工事業者など、多くの関係者が関わります。そのため、情報共有が不足すると誤解や認識ズレが発生し、工事内容の変更、スケジュール遅延、追加費用などのトラブルにつながります。
定期的な定例会議やプロジェクト管理ツールの活用により、全員が最新の状況を把握できる状態を維持することが欠かせません。また、意思決定者への報告ルートを明確にしておくことで、判断が遅れて工程が止まってしまうリスクを防ぐことができます。
(2)リスク管理の徹底
移転プロジェクトでは、内装工事の遅延、什器の納期遅れ、IT回線工事のトラブルなど、多くのリスクが潜んでいます。これらは発生後では対処が難しいため、早期に洗い出し、リスク発生時の代替案を事前に準備しておくことが重要です。
特にIT・通信関連の工事は長期化しやすく、クリティカルパスになりやすい領域であるため、優先的なリスク管理が求められます。また、小さな不具合も放置すると後半工程に影響が波及するため、早い段階で問題を発見し、迅速に対応できる監視体制を整えることが成功への近道です。
8. まとめ

オフィス移転は複雑なプロジェクトですが、成功する企業には共通点があります。それは、最初の3ステップ(目的整理・現状把握・体制設計)を徹底していることです。
移転は準備の質が結果に直結し、この3つを適切に行うことで、後続の物件選定・レイアウト・工事・運用が驚くほどスムーズになります。
初めてのオフィス移転であっても、正しいロードマップを描けば、企業にとって価値ある空間を構築できます。移転を単なる作業ではなく、企業の成長と組織力を高める機会として活かすことが、移転成功の最大のポイントです。
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