【設計】Z世代が働きやすいオフィスとは?|若手人材の価値観から逆算する空間戦略
1. 世代の価値観がオフィスの在り方を変える
1990年代後半〜2010年代前半に生まれた「Z世代」は、企業で本格的に活躍し始める中心層となりつつあります。デジタルネイティブとして育ち、働き方も価値観も多様な彼らは、従来の“オフィス像”では必ずしも満足しません。
企業が採用力・定着率を高めるには、Z世代がどのような環境で最も力を発揮できるのかを理解し、オフィスの在り方を再設計することが求められます。
オフィスは単なる「働く場所」から、企業の文化を表現するブランド空間へと進化しています。Z世代にとって働く場所は、自己成長、創造性、コミュニケーション、そして“自分らしさ”を保てる空間であることが重要です。
本記事では、Z世代の価値観を読み解きながら、企業がどのようにオフィス空間をデザインすべきかを解説します。
2. Z世代の価値観を読み解く

Z世代の働き方やオフィス環境への期待にはいくつかの共通点があります。
これらを理解しないままオフィスを設計すると、“古い”“使いにくい”“共感できない” と感じられてしまう恐れがあります。
デジタルネイティブで効率を重視する
Z世代は生まれた時からスマートフォンやネットに触れ、ツールを使いこなすことに慣れています。そのため “無駄な手間や紙中心の運用” に強いストレスを感じやすく、効率性を高める設備や仕組みをオフィスにも求めます。
自由度が高い環境の方がパフォーマンスを発揮しやすい
働く場所に多様性を求める傾向が強く、「固定席+長時間座りっぱなし」の環境では生産性が下がるという声が多く見られます。カフェ席・リラックス席など、気分や業務内容で選べる環境が好まれます。
人とのつながりを重視しながら、無駄な干渉は避けたい
コミュニケーションは大事にしつつ、必要以上の指示や束縛は嫌う傾向があります。“つかず離れず”の距離感を保てる空間が重要です。
働きやすさ=企業の魅力と捉える
オフィスの快適さや雰囲気が仕事への満足度に直結し、企業選びにも影響を与えます。「環境が悪い=大切にされていない」という認識につながるケースもあります。
自己成長につながる環境を重視
キャリア初期のZ世代は、どんな仕事をするかだけでなく、自分が成長できる環境に身を置けているか を重要視します。教え合いや学び合いが自然に生まれるレイアウトが求められます。
3. Z世代が求めるオフィス環境とは?

Z世代が働きやすさを感じるオフィスには、明確な傾向があります。
単に「おしゃれ」「新しい」だけでは不十分で、働き方の自由度・心理的安心感・創造性の高さといった複数の要素がバランスよく備わっていることが重要です。彼らは生まれたときからデジタル環境に慣れ、人との関係性や仕事との向き合い方も従来世代とは異なるため、オフィス空間そのものが“価値観のズレ”を埋める調整装置として機能する必要があります。
以下では、その中核となる3つの方向性を深掘りして解説します。
(1)クリエイティビティを刺激する空間
Z世代は単調な作業環境にストレスを感じやすく、視覚的・感覚的な刺激を求める傾向があります。これは単なる好みの問題ではなく、“クリエイティブな発想”を促し、仕事のモチベーションを高めるための重要な要素です。
<ポイント>
- 色彩や素材のバリエーションが多い
- チームでアイデアを出し合うための壁面・ホワイトボード
- 開放感ある天井高や抜け感のあるレイアウト
- ワークスペース以外にも「考えるための空間」がある
近年は「ワークラウンジ」「クリエイティブスペース」といった機能重視の空間が注目されており、Z世代の感性と非常に相性が良い領域です。
(2)気分や仕事内容に合わせて働く場所を選べる環境
Z世代は“1日同じ席で働く”という前提に価値を見いだしません。むしろ、仕事内容やその日の気分に応じて、最適な環境を自分で選べる方が高いパフォーマンスを発揮できると考えています。
具体的には、以下のような切り替えがしやすい環境を求めます。
<ポイント>
- 集中:個別ブース、静音エリア
- 協働:ソファ席、カフェ席、プロジェクトテーブル
- オンライン会議:フォンブース、半個室スペース
- 休憩・気分転換:ラウンジ、カウンター席
これはABW(Activity Based Working)の思想とも一致しており、“働く場所を自分で選べる自由”はZ世代の働きがいに直結します。
また、席のバリエーションが多いほど、出社のモチベーションが上がるという声も多く、固定席中心のオフィスとの差別化ポイントにもなります。
(3)心理的安全性が保たれる空間
Z世代が働くうえで最も重要視するのが「心理的安全性」です。見られすぎる、話しかけられすぎる、声が気になる、といったストレスがあると本来の力を発揮できません。
心理的安全性は、単なる“メンタルの話”ではなく、物理的な環境づくりで大きく左右される部分です。
<ポイント>
- 視線の抜けを調整できる席配置
- 仕切りやパーテーションによる適度な距離感
- 過度にオープンにならない、半クローズのワーク席
- 騒音を抑える吸音材やレイアウトの工夫
「人とつながりたいが、踏み込みすぎられたくはない」というZ世代特有の“適度な距離感”を空間でつくり出すことが求められます。
心理的安全性が確保されることで、集中する場面・協働する場面の切り替えがスムーズとなり、総合的な働きやすさにつながります。
Z世代が求めるオフィス環境とは、「クリエイティブさ」「選択の自由」「心理的安心感」 の3つが中心軸になります。従来の画一的な固定席中心のオフィスでは実現が難しい要素が多く、ABWやフリーアドレスなどの柔軟性の高い設計が、必然的に求められるようになります。
Z世代は働く空間そのものに企業姿勢や価値観を読み取る傾向があるため、彼らの感性に合う空間を整えることは、採用力・定着率・社内コミュニケーションの活性化につながります。企業が未来の人材戦略を進めるうえで、Z世代の視点を取り入れたオフィス設計は、もはや不可欠なテーマと言えるでしょう。
4. Z世代が好むオフィスの具体要素

Z世代の価値観を反映したオフィスづくりには、感性・働き方・心理性を踏まえた具体的な要素が必要です。
以下の表では、企業が導入しやすい主要なポイントを整理しています。
▼ Z世代が好むオフィス要素一覧
|
要素カテゴリ |
内容 |
Z世代が評価する理由 |
|
選べるワークスペース |
ソファ席、カウンター席、ハイテーブル、1人用フォンブース、カフェブースなど多様な席を用意 |
■気分や業務に合わせて場所を選べる自由度 ■固定席よりも創造性とモチベーションが高まる |
|
オンライン会議に適した個別空間 |
フォンブース、半個室ブース、吸音パネルを備えたWeb会議席 |
■周囲を気にせず会議ができる安心感 ■画角・音・照明が整い、オンライン業務の質が向上 |
|
自然に交流が生まれるコラボレーションスペース |
大型ソファ、カジュアルミーティング席、プロジェクトテーブル |
■肩の力を抜いて会話できる“話しかけやすい空間” ■偶発的なコミュニケーションが発生しやすい |
|
ナチュラル素材・柔らかい色使い |
木目調、観葉植物、間接照明、暖色・中間色 |
■空間が温かくなり、長時間いても疲れにくい ■“おしゃれで落ち着く場所”として出社意欲を高める |
|
パーソナルスペースを守る工夫 |
仕切りの高さ調整、視線を遮るレイアウト、パーテーション配置 |
■見られすぎない・干渉されすぎない距離感を確保 ■心理的安全性が生まれ、集中しやすい |
表で整理した要素は、Z世代だけでなく すべての世代が働きやすい環境 にもつながります。
特に「選択肢の多さ」と「心理的安全性」を担保できる空間は、ハイブリッドワークとの相性も良く、現代のオフィス設計のスタンダードになりつつあります。
5. Z世代が感じるオフィスの不満点

Z世代の声としてよく挙げられる不満点を整理します。
オンライン会議がしづらい
周囲の声が入ってしまったり、画面映りが悪かったりと、オンライン会議に適さない環境はZ世代の不満を大きくします。
業務の多くがデジタルで完結する分、環境の影響を受けやすく、ブース不足は「働きにくい職場」という印象につながります。
席が単調で飽きる
固定席や同じ形状のデスクが並ぶだけのレイアウトは、Z世代にとって刺激が少なく、気分転換も難しい環境です。
結果として集中力の維持が難しくなり、創造性が求められる仕事では成果にも影響が出やすくなります。
コミュニケーションのきっかけが少ない
ただ席を並べただけのオフィスでは、ほかのメンバーと会話を始めるきっかけがつくりづらく、部署間の距離感も生まれやすくなります。
Z世代は「自然なつながり」を重視するため、会話が発生しない空間は孤立感につながることがあります。
紙中心で非効率な運用
申請書の印刷・押印・紙での回覧など、デジタル化できる作業がアナログのまま残っていると、Z世代は強いストレスを感じます。
業務のスピード感に合わない運用は“無駄な時間を奪われている”と受け取られ、職場の魅力低下にも直結します。
過度にオープンで集中しづらい
仕切りのないレイアウトや、常に人の視線を感じる席配置は、Z世代の心理的安全性を損ないやすくなります。
周囲の雑音や視線が気になると作業に没頭できず、「出社の意味が感じられない」と捉えられてしまうケースもあります。
これらはすべて家具・動線・設備の改善で解消できる領域です。
6. Z世代が働きやすいオフィスづくりの実践ステップ

Z世代の価値観に合ったオフィスをつくるには、単に家具をおしゃれにしたり、カフェ風にしたりするだけでは不十分です。
働き方・心理・コミュニケーションの特性を理解し、それを空間に落とし込むプロセス が重要になります。
以下では、企業が実践しやすい形でステップを整理します。
(1)働き方・利用シーンの分析
まずは、現場の働き方を可視化し、「どのようなシーンで」「何人が」「どの頻度で」どんな業務を行うのかを丁寧に整理します。Z世代は業務中の席移動が多い傾向があるため、固定席では見えなかったニーズが浮かび上がることが少なくありません。
この段階で実態をつかむことが、後の家具選定やゾーニングの精度を大きく左右します。
(2)用途別のゾーニング
分析結果をもとに、「集中」「協働」「オンライン会議」「休憩」などの用途ごとに空間を切り分けます。Z世代はシーンごとに場所を変えることでパフォーマンスが高まるため、このゾーニングがオフィスの満足度に直結します。
単に部屋を分けるのではなく、オープン/クローズの度合いや動線設計まで踏み込んで検討することが重要です。
(3)家具・レイアウトの検討
用途に応じて、どの家具をどこに配置するかを決めていきます。Z世代向けには「ソファ席」「カウンター席」「フォンブース」など、多様なワークスペースの用意が不可欠です。
また、見た目の良さだけでなく、使いやすさ、音環境、照明、配線など実務的な要素も評価基準に含めることで、後々の「使いづらい問題」を防ぐことができます。
(4)心理的安全性の担保
空間が整っていても、視線や音が気になればZ世代は十分に力を発揮できません。仕切りの高さ、席の向き、パーテーションの位置などを調整し、「見られすぎず、干渉されすぎない」距離感を実現することが重要です。
心理的安全性は生産性だけでなく、出社意欲やコミュニケーションの質にも大きく影響します。
(5)試験導入・フィードバック
いきなり全エリアを変更するのではなく、まずは一部のエリアで試験導入し、若手社員を中心にフィードバックを集めます。Z世代は使い勝手への感度が高く、率直な意見が得られるため、改善ポイントを把握しやすくなります。
試験導入を挟むことで、リニューアル全体の完成度が格段に高まり、コストの無駄も減らせます。
7. 企業が得られるメリット

Z世代に配慮したオフィスは、結果として全世代にとって働きやすい環境にもつながります。
(1)生産性の向上
多様な働く場所を用意し、集中・協働・オンライン会議を切り替えやすくすると、仕事の進め方がスムーズになり生産性が向上します。Z世代に限らず、全世代にとって「適した環境を選べること」は作業効率を大きく左右するため、業務全体のスピードアップが期待できます。
また、集中を妨げる要素を減らすことは、ミスの削減にもつながります。
(2)コミュニケーションの活性化
カジュアルに集まれるスペースや話しかけやすい席配置にすることで、自然な交流や相談が増えます。Z世代が求める“適度な距離感”が整うと、ベテラン社員とも会話がしやすくなり、世代間の壁が薄くなる効果も生まれます。
結果として、プロジェクトの進行や情報共有が円滑になり、組織全体の連携が強化されます。
(3)採用力・定着率の向上
「働く環境」が企業の魅力として強く評価される時代において、Z世代にフィットする空間づくりは採用競争力の向上に直結します。選考時のオフィス見学で好印象を与えられれば、“働くイメージが湧く”ことで入社意欲が高まり、内定辞退率の低下にもつながります。
また、快適な環境は職場満足度を高め、若手の定着にも寄与します。
(4)オフィスのブランド価値向上
洗練されたオフィスは、来客に対して企業の姿勢や文化を示す「ブランド空間」として機能します。Z世代の感性を取り入れた設計は、外部のパートナーや顧客からも現代的で柔軟な企業として評価されやすく、企業イメージの向上につながります。
また、社員がSNSで積極的にオフィスを発信するなど、ブランド価値の自然な拡散にも期待できます。
8. まとめ

Z世代が働きやすいオフィスとは、「選べる」「つながれる」「安心できる」という3つの要素を満たす空間です。固定席中心のオフィスでは実現しにくい、自由度と心理的安全性の両立が求められています。企業がZ世代の価値観を理解し、それを空間に反映することは、単なる若手対策ではありません。
中長期的な組織力の強化、コミュニケーションの質向上、企業文化の醸成に直結する重要な戦略です。“未来の働き方を支えるオフィス”をつくるため、Z世代の声を軸にした空間設計が不可欠となっています。
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