【費用】オフィス内装費の相場と節約術|デザイン性とコストのバランスを取る方法

1. 企業成長を支える「戦略的なオフィス内装」という考え方

オフィスの内装は、単なる“作業空間づくり”ではなく、企業の競争力を左右する投資領域へと変化しています。働き方改革、採用競争の激化、ブランディング重視の流れを受け、オフィスの質が企業価値に直結する時代です。

一方で、オフィス移転やリニューアルに伴う内装工事は高額になりやすく、多くの企業が「どこまでお金をかけるべきか」「費用を抑えつつデザイン性は確保できるのか」という課題に直面します。

本記事では、オフィス内装費の相場を具体的な数字で示しながら、無駄な支出を抑えつつデザイン性と機能性を損なわないための実務的な施策を解説します。 “コストをかける部分”と“抑える部分”を明確にすることで、最適な内装投資が実現するという視点で読み進めていただければと思います。
 

2. オフィス内装費の基本構造

オフィス内装工事は、複数の工程が積み重なって総額が形成されます。

まずは費用構造を理解することで、どの部分にコストが集中しやすいのかを把握できます。

(1)物件の状態による費用差

オフィスの状態は大きく「スケルトン」「居抜き」「セットアップオフィス」の3種類に分かれ、これが初期費用に大きな影響を与えます。

スケルトン物件

天井や床、照明などが撤去され、空間がむき出しの状態。
自由度は最も高いものの、工事範囲が広いため費用は最大になる傾向です。

居抜き物件

前テナントの内装をそのまま引き継げる状態。
間取りが合えば内装費を大幅に節約できます。

セットアップオフィス

すでに会議室・エントランスなどが整備され、即入居できる仕様。
追加工事が少なく、コストコントロールがしやすい物件です。

(2)内装工事の主な費用項目

オフィス内装における代表的な費用項目を、内容と相場感とともに整理すると以下の通りです。

項目

内容

相場感(参考)

電気・照明工事

照明設備の交換・増設、電源新設、配線工事、LAN配線

5,000〜20,000円/㎡

空調設備工事

既存空調の移設、増設、分岐、温度管理ゾーンの調整等

5,000〜40,000円/㎡

造作工事(間仕切り・会議室)

間仕切り壁・会議室・収納の造作、ガラス壁など

10,000〜40,000円/㎡

床工事

タイルカーペット、フローリング、塩ビシートの施工

3,000〜10,000円/㎡

壁・天井工事

塗装、クロス貼り、耐火・防音処理、天井仕上げ

3,000〜15,000円/㎡

サイン・ガラス工事

ロゴサイン、ブランドウォール、ガラスパーテーション

50,000〜300,000円(1箇所)

什器・家具

デスク、チェア、収納、造作家具、会議室家具

20,000〜100,000円/席

デザイン・設計費

デザイン設計、図面作成、プロジェクト管理費、監理費

工事費全体の10〜15%

特に高額になりやすいのは、電気工事・空調・造作工事の3項目です。

後述する節約術の多くは、この3つの最適化に直結します。
 

3. オフィス内装費の相場

企業規模に応じた大まかな内装費の相場は以下の通りです。

あくまで一般的な平均値ですが、費用のイメージがつかみやすくなります。

(1)小規模:10〜30坪(3〜10名程度)

総額:150万円〜500万円ほど

主な要因は「会議室の有無」と「既存内装の活用度」

フリーアドレス席や小規模会議室を追加する場合は費用が上昇

(2)中規模:30〜100坪(10〜40名程度)

総額:400万円〜1,500万円ほど

会議室数、フォンブース設置、電源・LAN工事が増えるため費用が跳ね上がりやすいエリア

(3)大規模:100〜300坪以上(50名〜)

総額:1,500万円〜5,000万円以上

企業ブランディングに合わせたエントランス、社員用カフェ、リフレッシュスペースなどを設置するケースが多く、それに伴いデザイン設計費も増加する傾向
 


なお、昨今はハイブリッドワーク普及により「会議室の増加」「Web会議対応の防音工事」の需要が高まり、全体費用が上昇する傾向が見られます。
 

4. 内装見積もりが膨らむ理由

「思ったより高い」という声が最も多いのが内装工事です。

その原因を事前に把握しておくことで、予算の逸脱を防ぐことができます。

理由1:造作工事の増えすぎ

壁・間仕切り・収納棚・会議室などはすべて造作工事となり、1つ追加するだけで数十万円単位で費用が増えます。特にガラス張り会議室などは高額になりやすく、デザイン性の追求がそのまま費用増につながります。

理由2:空調設備の移設・新設

空調は最も費用インパクトが大きい項目の一つです。「会議室を増やす」「天井をスケルトンにする」といった変更により、空調の位置を変える必要が出ると費用が跳ね上がります。

理由3:電源・LANの配線距離増加

現代オフィスでは、モニター・PC・オンライン会議設備が前提であり、電源配線が複雑化しています。床下配線が必要な場合は特に費用が増加します。

理由4:家具のグレードが高すぎる

オフィス家具は値段の幅が広く、1人あたりの席で数万円〜十万円以上差が出ることもあります。造作家具やオーダー什器は費用の要因になりやすいため、注意が必要です。

理由5:“デザイン先行”による仕様変更

デザインを先に固めてしまい、後から「工事が必要だった」と気づくケースは意外と多いです。デザインと工事の整合性が取れていないと、必ず追加費用の原因になります。
 

5. デザイン性を損なわずコストを抑える6つの節約術

ここでは、実務でよく使われる“コスト最適化のテクニック”を紹介します。

(1)既存内装を極力活用する

床材や会議室、造作壁などが再利用できれば、新規工事の範囲を減らし、大幅なコスト削減につながります。状態の良い部分は補修や再塗装で十分印象を変えられるため、「作り替える前に残せるものを精査する」という姿勢が重要です。

(2)造作工事ではなく可動式パーテーションを活用

固定壁ではなく、可動パネル・ガラスパーテーションで代替することで、造作工事の大部分をカットできます。将来的なレイアウト変更にも柔軟に対応できる点でもメリットがあります。

(3)空調・照明・スプリンクラーを“動かさない”設計にする

最も費用を圧迫するのが設備の移設です。レイアウトを工夫し、既存位置を活かしたままゾーニングすることで大幅にコストを抑えられます。

(4)デザイン費は「見える部分」に投下する

費用対効果の高いのは以下のエリアです。

  • エントランス
  • 応接室
  • ガラスロゴサイン
  • 主要導線の壁面

オフィス全体をデザインする必要はなく、印象に残る“要所だけ”に力を入れることが重要です。

(5)家具は造作を避け、市販品+一部中古で最適化

特にデスク・収納は造作すると高額になりがちです。市販品の組み合わせ+中古の活用で十分にスタイリッシュなオフィスを実現できます。

(6)複数社の見積もりを比較する

同じ仕様でも30〜40%見積もりが変わることは珍しくありません。項目の粒度が細かい会社のほうが費用の透明性が高く、追加費用も発生しにくい傾向があります。
 

6. 内装会社の選び方

オフィス内装工事は、単にデザインの美しさだけでなく、工事品質、工程管理、安全管理、原状回復の理解、ビル管理会社との調整能力など、複数の要素が複雑に絡み合う高度な業務です。

そのため、工事会社の選定はプロジェクト成功の最重要事項の一つと言えます。
特に近年は、デザイン性を重視した内装会社も増えている一方で、実際の施工能力やプロジェクト管理力が十分でない会社も存在するため、見積金額だけで判断することは大きなリスクを伴います。

以下では、内装会社選びで押さえるべき6つの重要ポイントを詳しく解説します。

オフィス内装の実績が豊富かどうか

オフィス工事には、店舗や住宅とは異なる専門性があります。

電気・LAN配線や空調管理、ビル設備との整合性確認、耐荷重や防火区画など、オフィス特有の技術要件を理解している会社でないと、工事途中でトラブルが発生しやすくなります。


チェックすべき項目

□過去の施工事例はどれくらいあるか

□自社オフィス以外にも、外部企業の案件を多数担当しているか

□オフィスの規模(坪数)が自社のプロジェクトと近いものがあるか

□延べ工事数、年間施工件数が公開されているか


実績が豊富な会社ほど、見積り精度も高く、追加費用が発生しにくい傾向があります。

デザインと施工の体制が一貫しているか

内装会社には大きく分けて、デザイン会社・施工会社(工務店)・デザイン・施工一貫の会社があります。

デザインと施工が別々の会社の場合、図面の解釈違いや、施工時の追加工事の判断などでトラブルになりやすく、結果としてコストが膨らむことがあります。

一貫体制の会社であれば、デザイナーと現場監督が密に連携し、予算・デザイン・工期を総合的に調整できるため、プロジェクトの安定性が高まります。

見積もりの透明性と項目の細かさ

見積書は、会社の誠実さとプロジェクト管理力を表す“指標”です。

費用の内訳が粗い見積書は、後から追加費用が発生しやすく、金額の妥当性も判断しづらいものです。


チェックすべき項目

□項目が細かく、単価が明確か

□「一式」表記が過度に多くないか

追加費用が発生する条件が明示されているか

デザイン費・監理費などが明確に分離されているか


良い会社ほど「追加見積もりの発生条件」を事前に説明し、トラブルが起きにくい契約構造を提案してくれます。

工期管理・プロジェクト管理の能力

オフィス移転はスケジュールが決まっており、遅延が許されないケースが大半です。

そのため、内装会社の工期管理力は極めて重要な判断基準となります。 

管理力の高い会社の特徴

  • 週次・日次での工程表を作成してくれる

  • ビル管理会社や設備会社との調整も一括で対応

  • 監督(現場管理者)が常駐または定期巡回

  • 夜間工事・休日工事の経験が豊富

  • 工事写真・進捗報告を細かく共有してくれる

工事管理が弱い会社に任せると、工期遅延や仕上がり不良が発生し、結果として企業側の損失が大きくなる可能性があります。

ビル側との調整経験・設備知識があるか

オフィスビルでは、ビル管理会社が工事ルールを厳格に定めており、理解していない会社に依頼すると工事許可が下りなかったり、着工が遅れたりすることがあります。

オフィスビルでよくある工事ルール

  • 騒音作業は夜間限定

  • 空調工事はビル指定業者のみ

  • 低層階・高層階で積載荷重の制限が異なる

  • 電源容量の確認が必須

  • 消防設備工事の届け出ルール

ビル設備に詳しい会社ほど、事前確認がスムーズで、ムダな時間・費用が発生しません。

アフターサポートの有無

内装工事は引き渡した後も、「什器の追加」「配線見直し」「レイアウト変更」などの細かな調整が発生します。

良い会社の特徴

  • 引き渡し後の小工事も迅速に対応

  • 無償範囲・有償範囲の説明が明確

  • レイアウト変更の相談に応じてくれる

アフターケアの有無は、長期的な費用や運用効率に大きく影響します。
 

7. プロジェクト成功のための進行ステップ

オフィスの内装工事は、単なる“工事作業”ではなく、企業の移転計画全体を左右するプロジェクトです。そのため、工事に着手する前から完成・引き渡しに至るまでの一連の流れを体系的に管理することが極めて重要になります。

ここでは、プロジェクト全体をスムーズに進め、不要な追加費用や工程遅延を防ぐためのプロセス管理を、文章ベースで整理して解説します。

(1)要件定義

プロジェクトの出発点となるのが「要件定義」です。これは単に必要な席数を決める作業ではなく、企業の働き方や組織構造、将来の事業計画を踏まえた“オフィスのあるべき姿”を明らかにする工程です。

まず、現在の従業員数だけでなく、今後の増員計画や採用方針を踏まえる必要があります。また、固定席を基本とするのか、フリーアドレス型にするのか、リモートワークの比率はどの程度かといった働き方の方向性も重要です。会議室の数や大きさ、個別ブースの必要性、バックオフィス業務の特性なども事前に整理しておくことで、後工程の設計が無駄なく進みます。

この段階が曖昧なまま進むと、後からの仕様変更が相次ぎ、追加費用や工期延長につながります。内装工事において、要件定義の精度が最終成果の品質を大きく左右することを認識しておく必要があります。

(2)レイアウト設計

要件定義が固まったら、次にレイアウト設計に進みます。レイアウト設計は、執務室・会議室・エントランスなどの空間配置を決定する重要な工程であり、社員の動線や作業効率、企業のブランドイメージを左右します。

レイアウト設計では、まず動線の最適化が中心となります。社員が日常的に利用する空間を無理なく行き来できるか、来客導線が適切に分けられているかなど、空間を使う人の視点で設計を検討します。また、この段階で空調や照明などの既存設備の配置を踏まえた設計ができれば、設備工事のコストを最小限に抑えることができます。

さらに、最近ではオンライン会議の増加に対応するため、フォンブースや小規模会議室の配置計画もレイアウト段階から調整する必要があります。単に美しい平面図をつくるだけではなく、実際の業務フローを踏まえた実践的な設計が求められます。

(3)デザイン・見積もり

レイアウトが確定したら、いよいよデザインの方向性を固め、同時に見積もりの取得に進みます。デザインの段階では、企業のブランドやカルチャーを空間にどう反映するかが重要です。エントランスの印象づくり、壁面や照明の雰囲気、会議室のガラス仕様など、視覚的な要素が中心となります。

この工程で重要なのは、“理想のデザイン”と“予算の現実”を同時に見ながら意思決定していくことです。気に入ったデザイン案があっても、施工が複雑すぎる場合は費用が跳ね上がります。そこで、複数案を比較しながら、費用対効果の高い仕様を選ぶことが求められます。

また、見積もりの比較もプロジェクト成功の要です。同じ設計でも、内装会社によって価格差が数百万円単位になることは珍しくありません。見積項目が適切に細分化されているか、追加費用が発生する可能性はどこにあるかを慎重に確認することで、予算と品質を両立できます。

(4)工事期間

設計と見積もりが確定すると、工事に着手します。工事期間は規模にもよりますが、小規模オフィスで2〜3週間、中規模以上で1〜2ヶ月程度が一般的です。

工事フェーズで最も重要なのは、工程管理です。スケジュール通りに職人が配置されているか、資材の納期は問題ないか、ビル側への工事申請や夜間作業の調整が適切に行われているかなど、多岐にわたる確認事項があります。工程が遅れると、引越し日程や業務開始日にも影響し、企業活動全体に支障をきたします。

内装会社の監督者が現場を丁寧に管理し、定期的に進捗報告を行ってくれるかどうかは、このフェーズの成功を大きく左右します。施主側も適度に現場を確認し、施工内容が設計図のとおり進んでいるかを把握しておくことが望ましいです。

(5)引き渡し・原状回復

工事が完了すると、施工範囲の最終確認を行い、引き渡しが行われます。引き渡し時には、傷や施工ミスの有無、設備が正常に稼働しているかなど、細かい部分までチェックが必要です。

同時に見落とされがちなのが「原状回復」の視点です。オフィスの退去時には、内装会社ではなくテナント側が原状回復費を負担するケースが多いため、現在の工事内容が将来のコストにどのように影響するかを理解しておく必要があります。

たとえば、造作壁を多用しすぎると退去時の撤去費用が膨れ上がりますし、設備の変更が多いほど原状回復の範囲も広がります。内装工事は「完成したら終わり」ではなく、「将来のコストまで設計段階で考えておく」ことが、最終的な投資最適化につながります。
 

8. まとめ

オフィス内装は、単なる見た目を整える作業ではなく、働きやすさや企業イメージ、来客対応の質を左右する重要な投資です。しかし、高額になりやすい領域でもあるため、どこに費用をかけ、どこで節約するのかを明確にすることが欠かせません。

本コラムで解説したように、既存内装や設備を活用しながら、動線設計やデザインの重点箇所を絞ることで、コストを抑えつつ高品質なオフィスをつくることができます。また、内装会社の選定においては、実績や見積もりの透明性、施工品質などを慎重に見極めることで、余計なトラブルや追加費用を防ぐことが可能です。

最終的に大切なのは、短期的な工事費だけで判断するのではなく、完成後の運用性や将来の原状回復コストまで含めて“長期的な視点”で内装を捉えることです。デザインとコストのバランスを丁寧に考えることで、企業の成長を支える空間づくりが実現します。

POPULAR人気の物件

おすすめの居抜き・セットアップオフィスを探す

ベンチャー企業や居抜き物件をお探しの方にぴったりの事務所をご紹介いたします。

気になる物件がございましたら、お気軽にご連絡ください。