セットアップオフィスと居抜きオフィスは、どちらも既存の内装や設備を活用できるため、一般的な賃貸オフィスよりも初期費用や移転準備の負担を抑えやすい点が共通しています。一方で、内装を用意する主体や月額賃料、追加工事の有無、契約条件、退去時の原状回復などには違いがあり、初期費用だけで判断すると想定より総コストが高くなる場合もあります。
この記事では、セットアップオフィスと居抜きオフィスの違いをはじめ、初期費用・月額費用・退去費用、通常オフィスを含めた費用比較、30坪を3年間利用した場合の総コスト、さらにそれぞれがどのような企業に向いているのかまで詳しく解説します。オフィス移転を検討している方が、自社に適した契約形態を判断するためのポイントを整理しています。
結論
初期費用をできるだけ抑えたい企業には居抜きオフィス、内装工事の負担を抑えながらデザイン性や費用の見通しやすさも重視したい企業にはセットアップオフィスが向いています。
理由:
居抜きオフィスは前テナントの内装や什器を活用できるため初期投資を抑えやすい一方、追加工事や退去時の原状回復費用が発生する場合があります。セットアップオフィスは貸主側が内装を整えているため費用を予測しやすい反面、内装費相当が賃料に反映される場合があります。
この記事で分かること
セットアップオフィスと居抜きオフィスの違い、初期費用・月額費用・退去費用、30坪を3年間利用した場合の総コスト、企業ごとの選び方を比較します。
情報の根拠
東京都内の賃貸オフィスを掲載する
「オフィス検索ネット」
の
掲載物件
や各物件の募集条件、敷金・保証金、内装・設備などの情報をもとに解説しています。
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1. セットアップオフィスと居抜きオフィスの違いとは?
セットアップオフィスと居抜きオフィスの最も大きな違いは、「誰が内装を用意したのか」という点です。セットアップオフィスは、貸主であるビルオーナーや管理会社などが内装を整えた状態で募集する物件です。一方、居抜きオフィスは、前テナントが使用していた内装や設備、場合によっては什器などを残し、次のテナントが引き継いで使用する物件です。
どちらも入居者がゼロから内装を構築する必要がないという点では似ていますが、契約後の設備の扱いやレイアウト変更、修繕責任、退去時の原状回復範囲には違いがあります。そのため、物件を比較するときは「内装済みだからすぐ使える」という点だけではなく、入居から退去までの契約条件を確認する必要があります。
| 比較項目 |
セットアップオフィス |
居抜きオフィス |
| 内装を用意した主体 |
ビルオーナー・貸主側 |
前テナント |
| 内装の状態 |
募集用として計画・施工された内装 |
前テナントが実際に使用していた内装 |
| 初期内装費 |
抑えやすい |
既存内装が合えば大幅に抑えやすい |
| 月額賃料 |
内装費が反映され、一般賃貸より高くなる場合がある |
通常の賃料水準に近い場合がある |
| デザイン |
統一されたデザインの物件が多い |
前テナントの仕様による |
| 什器・家具 |
付属する物件と付属しない物件がある |
造作譲渡・残置物として引き継げる場合がある |
| 退去時 |
契約で定められた状態への復旧が必要 |
前テナントの造作を含めて原状回復義務を負う場合がある |
特に注意したいのが退去時です。セットアップオフィスでは貸主が施工した内装を利用するため、退去時にどの状態まで戻すのかを契約時に確認します。居抜きオフィスの場合は、前テナントから引き継いだ造作についても新しい借主が原状回復義務を引き継ぐことがあります。初期費用だけを比較すると居抜きオフィスが有利でも、退去費用まで含めると結果が変わる可能性があります。
2. セットアップオフィスとは?
セットアップオフィスとは、ビルオーナーなどの貸主側があらかじめ受付、会議室、執務スペース、ラウンジなどの内装を整えた状態で貸し出すオフィスです。物件によってはデスクやチェア、会議テーブル、テレカンブースなどの什器まで設置されており、一般的なオフィスと比較して入居企業が行う内装工事を大幅に減らせます。
通常の賃貸オフィスでは、契約後にレイアウトを決め、間仕切り、床、壁、照明、電源、LANなどの工事を行い、さらにデスクやチェアなどを購入してから業務を開始します。セットアップオフィスでは、この工程の一部または大部分がすでに完了しているため、移転に必要な時間と初期投資を同時に圧縮しやすい点が特徴です。
セットアップオフィスのメリット
セットアップオフィスの大きなメリットは、内装工事費を抑えながら、一定水準のデザインと機能を備えたオフィスを利用できることです。受付や会議室などが完成していれば、自社で設計会社や施工会社を選定し、工事内容を細かく調整する負担も軽減できます。移転担当者を専任で配置することが難しいスタートアップや中小企業にとって、移転プロジェクトそのものに必要な社内工数を抑えられる点も見逃せません。
また、採用活動や来客対応を重視する企業では、オフィスのデザインも重要です。セットアップオフィスは募集時点で内装が完成しているため、内覧時に実際の執務環境を確認しやすく、完成後のイメージと実際の仕上がりが大きく異なるリスクも抑えられます。
セットアップオフィスのデメリットと注意点
一方で、セットアップオフィスでは貸主が負担した内装費が賃料に反映され、一般的なオフィスより坪単価が高く設定される場合があります。そのため、初期費用だけを見るのではなく、予定する入居期間を踏まえて総額を比較する必要があります。短期から中期の利用では初期投資を抑えられる効果が大きくても、長期間利用する場合は賃料差の累積によって通常オフィスとの差が縮小する可能性があります。
さらに、完成済みの内装を利用することが前提となるため、レイアウト変更の自由度にも限界があります。増員計画がある企業では、現在の人数だけでなく、契約期間中に予定している従業員数まで考えたうえで、既存レイアウトが対応できるか確認することが重要です。
オフィス検索ネットで掲載中のセットアップオフィス例
セットアップオフィスを探す場合は、立地や広さだけでなく、会議室やテレカンブース、ラウンジなどの設備、什器の有無、敷金・礼金、入居可能時期などもあわせて確認することが重要です。ここでは、オフィス検索ネットに掲載中の千代田区・中央区・品川区のセットアップオフィスを一部紹介します。
千代田区|水道橋
水道橋駅徒歩1分 会議室・テレカン完備のセットアップオフィス
約53坪/水道橋駅徒歩1分 会議室2室・テレカンブース2室付き 屋上テラスあり・什器設置相談可能・礼金なし
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中央区|八丁堀
原状回復義務なし 初期費用を抑えやすいセットアップオフィス
約24坪/八丁堀駅徒歩4分 会議室・ラウンジ・テレカンブース付き 敷金なし・礼金なし・原状回復義務なし
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品川区|五反田
共用ラウンジ完備 多様な働き方に対応するセットアップオフィス
約60坪/五反田駅徒歩7分 共用ラウンジ・会議室・テレカンブース付き 屋上テラスあり・リノベーション済み・礼金なし
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3. 居抜きオフィスとは?
居抜きオフィスとは、前テナントが使用していた受付、会議室、間仕切り、床、照明、配線設備などを撤去せず、次のテナントが引き継いで利用するオフィスです。物件によってはデスクやチェア、収納、会議テーブル、テレカンブースなども残されており、既存設備と自社の働き方が一致すれば、内装工事や什器購入に必要な費用を大幅に削減できます。
通常は退去するテナントが契約に基づいて原状回復工事を行いますが、貸主や次のテナントなどの合意によって内装を残したまま引き継げる場合があります。ここが、最初から貸主側で内装を用意しているセットアップオフィスとの根本的な違いです。
居抜きオフィスのメリット
居抜きオフィスの最大のメリットは、前テナントが投資した内装を再利用することで、新しい入居企業の初期投資を圧縮できることです。特に会議室、受付、造作壁、電源、LANなどがそのまま利用できれば、一般的なオフィスで必要となる工事の多くを省略できます。
既存内装をそのまま使用できるほど、自社が負担する追加工事は少なくなります。そのため、居抜きオフィスでは「内装が残っているか」だけではなく、「残っている内装をどの程度そのまま使えるか」がコストを左右します。自社の人数や会議室数、働き方と既存レイアウトの相性が良い物件ほど、居抜きの経済的なメリットを得やすくなります。
居抜きオフィスのデメリットと退去時リスク
居抜きオフィスで特に注意したいのが、設備の所有権と原状回復義務です。前テナントが残した設備には、貸主が所有する設備と、前テナントから譲渡される造作・残置物が混在することがあります。残置物として引き継いだ設備については、故障時の修理や交換、最終的な撤去を新しいテナントが負担する契約となることがあります。
また、入居時には工事費がほとんど発生しなかったとしても、退去時にスケルトン状態まで戻す契約であれば、自社が施工していない前テナントの内装まで撤去する費用を負担する可能性があります。居抜きオフィスを比較するときは、入居時の削減額と退去時の潜在的な費用をセットで考える必要があります。
オフィス検索ネットで掲載中の居抜きオフィス例
居抜きオフィスを探す場合は、立地や広さだけでなく、引き継げる内装や設備、会議室などの有無、敷金・礼金、入居可能時期などもあわせて確認することが重要です。ここでは、オフィス検索ネットに掲載中の中央区・目黒区・千代田区の居抜きオフィスを一部紹介します。
中央区|銀座一丁目・新富町
新富町駅徒歩3分 会議室・テレカンブース付き居抜きオフィス
約29坪/新富町駅徒歩3分 受付・会議室・テレカンブース・ファミレスブース設置済み 銀座一丁目駅徒歩5分・礼金なし
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目黒区|中目黒
中目黒駅徒歩3分 リニューアル済みデザイナーズ居抜きオフィス
約57坪/中目黒駅徒歩3分 2026年8月エントランス・共用部リニューアル 敷金なし・礼金なし・バルコニー付き
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千代田区|水道橋
水道橋駅徒歩1分 内装造作付き相談可能な居抜きオフィス
約51坪/水道橋駅徒歩1分 受付・執務室・6名用・8名用会議室の造作相談可能 バルコニー・男女別トイレ付き・礼金なし
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4. 通常オフィス・セットアップ・居抜きの初期費用を比較
オフィス移転の費用差が最も分かりやすく表れるのが入居時です。通常の賃貸オフィスでは、敷金・保証金などの契約費用に加え、内装工事費と什器購入費が必要になります。セットアップオフィスと居抜きオフィスでは既存内装を利用できるため、この内装関連費用を圧縮しやすくなります。
| 費用項目 |
通常オフィス |
セットアップオフィス |
居抜きオフィス |
| 敷金・保証金 |
物件ごとの設定 |
物件ごとの設定 |
物件ごとの設定 |
| 内装工事費 |
原則必要 |
大幅に抑えやすい |
既存内装が合えば大幅に抑えやすい |
| 什器購入費 |
原則必要 |
什器付きなら抑えられる |
什器を引き継げれば抑えられる |
| 追加工事 |
自社仕様に合わせて施工 |
必要最低限で済む場合がある |
既存レイアウトとの相性によって変動 |
| 入居準備期間 |
長くなりやすい |
短縮しやすい |
短縮しやすい |
通常オフィス「敷金6ヶ月」と敷金0物件の初期費用比較
手元資金を残したい企業では、内装費と同時に敷金条件を確認することが重要です。例えば月額賃料100万円の物件で敷金6ヶ月が設定されていれば、敷金だけで600万円を預け入れる必要があります。同じ月額賃料で敷金0ヶ月なら、この600万円を契約時に預け入れる必要がなくなります。
| 比較項目 |
通常物件(敷金6ヶ月) |
敷金0物件 |
| 月額賃料 |
100万円 |
100万円 |
| 敷金 |
600万円 |
0円 |
| 敷金による契約時キャッシュアウト |
600万円 |
0円 |
| 敷金部分の差額 |
― |
600万円 |
| 別途確認する費用 |
礼金・仲介手数料・内装費等 |
保証会社利用料・礼金・仲介手数料等 |
ただし、敷金0物件だから600万円そのものが利益になるわけではありません。敷金は一定の条件のもと退去後に返還される預託金であり、敷金0物件では保証会社への加入など別の条件が設定される場合があります。そのため、「契約時に残せる資金」と「返還されない保証会社利用料などの費用」を分けて比較することが重要です。
オフィス検索ネット掲載物件における敷金0物件と保証会社利用料
オフィス検索ネットでは敷金なしの条件で検索できる物件を掲載しています。ただし、掲載物件全体に占める敷金0物件の割合、および保証会社利用料の平均値・中央値について、今回確認できた公開情報だけでは正確な数値を提示できません。
ここには実際の掲載データを集計したうえで、「掲載物件のうち敷金0物件は○%」「保証会社利用料は○○」といった一次データを掲載することで、オフィス検索ネット独自の比較情報として活用できます。
東京都内の敷金0オフィスを探す
契約時の初期費用を抑えたい方は、オフィス検索ネットに掲載中の 「敷金なし」物件をご確認ください。
エリア・広さ・賃料などの条件を組み合わせて比較できます。
セットアップ・居抜き・通常オフィスのどれが自社に合うか、条件をもとにご相談いただけます。
5. 30坪契約時の「通常・セットアップ・居抜き」3年コストシミュレーション
セットアップオフィスと居抜きオフィスを正しく比較するには、契約時の初期費用だけでは不十分です。月額賃料が36ヶ月積み上がった金額に、入居時の内装費、什器費、追加工事費、退去時の原状回復費を加え、予定入居期間全体の総コストで判断する必要があります。
30坪のオフィスを3年間利用する場合の考え方を整理すると、以下のようになります。実際の金額はエリア、ビルグレード、賃料、内装状態、造作譲渡条件、原状回復条件によって大きく異なるため、特定の物件を比較する際には個別見積もりが必要です。
| 比較項目 |
通常オフィス |
セットアップオフィス |
居抜きオフィス |
| 想定面積 |
30坪 |
30坪 |
30坪 |
| 初期内装工事 |
一から施工するため大きくなりやすい |
既存内装を利用できるため抑えやすい |
既存内装をそのまま利用できれば最小化しやすい |
| 什器・家具 |
新規購入が中心 |
付属していれば購入費を削減可能 |
譲渡対象なら購入費を削減可能 |
| 月額賃料 |
基準 |
内装費が反映され高くなる場合がある |
通常賃料に近い場合がある |
| 追加工事リスク |
契約前に設計しやすい |
比較的小さい |
既存内装との相性によって大きく変動 |
| 退去費用 |
原状回復工事が必要 |
契約条件を確認 |
前テナント造作まで対象となる可能性あり |
| 3年総コストの特徴 |
初期・退去コストが大きくなりやすい |
初期費用と月額費用のバランスを取りやすい |
既存内装が合えば総額を抑えられる可能性がある |
この比較から分かるように、通常オフィスでは月額賃料だけを見ると割安でも、内装を一から構築する費用と退去時の原状回復費まで含めると総コストが大きくなる可能性があります。セットアップオフィスでは月額賃料が高くなる場合があるものの、内装工事や什器購入へのまとまった初期投資を抑えられるため、3年間の費用を予測しやすくなります。
居抜きオフィスは、既存の受付、会議室、執務スペース、什器などが自社の希望に近ければ非常に高いコスト削減効果を期待できます。一方、レイアウト変更に追加工事が必要になったり、退去時に既存造作をすべて撤去する義務を負ったりすると、そのメリットが小さくなる可能性があります。したがって、3年総コストは「入居時費用+内装・什器費+36ヶ月分の賃料等+退去時費用」で比較することが重要です。
6. セットアップオフィスと居抜きオフィスはどちらが安い?
セットアップオフィスと居抜きオフィスのどちらが安いかは、初期費用だけで見るか、月額賃料や退去費用まで含めて見るかによって結論が変わります。一般的には、前テナントの内装や什器をそのまま活用できる居抜きオフィスの方が、契約直後に必要となる初期費用を抑えやすい傾向があります。一方、セットアップオフィスは月額賃料がやや高く設定される場合があるものの、追加工事や設備交換のリスクを抑えやすく、費用を予測しやすい点が特徴です。
そのため、単純に「居抜きの方が安い」「セットアップの方が高い」と判断するのではなく、入居時・入居中・退去時の3段階に分けて比較することが重要です。
| 比較する費用 |
セットアップオフィス |
居抜きオフィス |
| 初期内装費 |
抑えやすい |
既存内装が合えばさらに抑えやすい |
| 什器購入費 |
什器付きなら不要または少額 |
引き継げれば不要または少額 |
| 追加改修費 |
比較的発生しにくい |
レイアウトが合わないと発生しやすい |
| 月額賃料 |
一般賃貸より高めになる場合がある |
通常賃料に近い場合がある |
| 設備修繕費 |
貸主設備なら負担範囲を把握しやすい |
残置物の場合は借主負担となる可能性がある |
| 原状回復費 |
契約条件を比較しやすい |
前テナント造作まで撤去対象となる場合がある |
| 費用の予測しやすさ |
比較的高い |
物件・契約条件による差が大きい |
初期費用だけなら居抜きオフィスが安くなりやすい
契約直後の費用だけを比較すると、居抜きオフィスの方が安くなる可能性があります。前テナントが施工した会議室、受付、間仕切り、床、照明、電源、LANなどをそのまま使用できれば、新しい入居企業が負担する内装工事は最低限で済みます。さらに、デスクやチェア、会議テーブルなどの什器まで引き継げる場合は、家具購入費も削減できます。
例えば通常オフィスで、会議室の新設や床・壁の仕上げ、電源工事、什器購入などに数百万円が必要になるケースでも、居抜きオフィスで既存設備をほぼそのまま利用できれば、その大部分を削減できる可能性があります。
特に、現在の手元資金を採用や広告、システム開発、新規事業などへ残したい企業では、入居時のキャッシュアウトを抑えられる居抜きオフィスのメリットは大きくなります。
ただし、居抜きだから必ず安いわけではありません。既存の会議室数が足りない、座席数が合わない、電源容量が不足している、什器の状態が悪いといった場合には、追加工事や買い替えが必要になります。
そのため、居抜きオフィスでは、「残っている設備の価値」ではなく「自社が追加費用なしで使える設備の価値」を見ることが重要です。
月額費用では居抜きオフィスが有利になる場合がある
セットアップオフィスは、貸主側が内装工事費を負担しているため、その投資額が賃料に反映される場合があります。そのため、一般的な賃貸オフィスや居抜きオフィスと比べて、月額の坪単価が高くなるケースがあります。
例えば30坪のオフィスで、居抜きオフィスの月額賃料が60万円、セットアップオフィスが66万円だった場合、月額差は6万円です。3年間利用すると、賃料差だけで216万円になります。
このようなケースでは、セットアップオフィスで内装工事費を500万円削減できたとしても、利用期間が長くなるほど賃料差によってそのメリットは徐々に小さくなります。
一方、居抜きオフィスは内装費を抑えながら、月額賃料が通常物件と大きく変わらない場合もあるため、既存内装との相性が良ければ「初期費用」と「月額費用」の両方を抑えられる可能性があります。
追加工事が発生すると居抜きのコストメリットは小さくなる
居抜きオフィスを選ぶ際に注意したいのが追加工事です。
例えば前テナントが10名で利用していたオフィスを20名で使用する場合、座席数を増やすためにレイアウト変更が必要になることがあります。また、会議室が多すぎる、逆に不足している、電源やLANの位置が自社の働き方に合わない場合には、既存内装を一度壊して再施工しなければならない可能性があります。
この場合、居抜きであるにもかかわらず、既存造作の解体費、新しい間仕切り工事費、床・壁の補修費、電源・LAN工事費、追加什器購入費などが発生し、通常オフィスとの差が小さくなることがあります。
セットアップオフィスでも追加工事が必要になることはありますが、募集時点で想定人数や会議室数を意識して設計されている物件もあるため、完成した状態が自社に合っていれば追加工事を比較的抑えやすくなります。
退去時まで含めるとセットアップオフィスが有利になるケースもある
居抜きオフィスの費用比較で最も注意したいのが退去時です。
居抜きで入居した場合でも、退去時に居抜きのまま返却できるとは限りません。契約内容によっては、前テナントから引き継いだ会議室や間仕切り、造作設備まで含めて撤去し、指定された状態へ原状回復する必要があります。
例えば入居時に内装工事費を500万円削減できても、退去時に400万円から500万円程度の工事が必要になれば、実際のコスト削減効果は大きく変わります。
一方、セットアップオフィスでは、貸主が施工した内装について原状回復の対象外となる部分が設定されている場合があります。もちろん契約内容によって異なりますが、借主が追加した造作だけを撤去すればよい契約であれば、退去費用の予測がしやすくなります。
そのため、短期的な安さだけなら居抜き、入居から退去までの費用の読みやすさではセットアップが有利になる場合があると考えると分かりやすいでしょう。
短期利用ならセットアップが有利になる場合がある
2年から3年程度の比較的短い入居を想定している企業では、セットアップオフィスが有利になる場合があります。
通常オフィスで数百万円をかけて内装を施工しても、数年後に再移転するのであれば、その内装投資を十分に活用できない可能性があります。さらに退去時には原状回復費も必要です。
セットアップオフィスであれば、初期の大規模な内装投資を避け、必要な期間だけ完成済みのオフィスを利用できます。月額賃料が多少高くても、短期利用では内装費削減のメリットが賃料差を上回る可能性があります。
特に急成長している企業では、3年後の従業員数を正確に予測することが難しいため、現在のオフィスに大規模な内装投資をしないという考え方にも合理性があります。
長期利用なら通常オフィスや居抜きの方が有利になる場合がある
反対に、同じオフィスを7年、10年と長期間利用する予定であれば、セットアップオフィスの賃料差が積み上がります。
月額10万円の差でも10年間では1,200万円になります。そのため、長期入居を前提とする企業では、自社で内装を施工した通常オフィスや、賃料負担を抑えながら既存内装を活用できる居抜きオフィスの方が、総コストを抑えられる場合があります。
ただし、居抜きの場合は設備の老朽化や修繕費も考慮する必要があります。前テナントが長期間利用していた設備を引き継ぐ場合、入居後数年で交換が必要になる可能性もあるためです。
どちらが安いかは予定入居期間で判断する
セットアップと居抜きを比較する際は、まず「何年間利用する予定なのか」を明確にすることが重要です。
| 利用予定 |
コスト面で検討しやすい選択肢 |
主な理由 |
| 1〜3年程度 |
セットアップ・居抜き |
大規模な内装投資を避けやすい |
| 3〜5年程度 |
両者を総コスト比較 |
賃料差と追加工事費のバランスが重要 |
| 5年以上 |
居抜き・通常オフィスも有力 |
セットアップの賃料差が積み上がる可能性がある |
| 再移転時期が未定 |
セットアップ |
初期投資を固定しすぎず運用しやすい |
| 既存内装が自社にほぼ一致 |
居抜き |
初期費用と月額費用の両方を抑えやすい |
最終的には、「どちらが安いか」ではなく「自社が利用する期間においてどちらの総コストが低いか」で判断する必要があります。
セットアップオフィスでは、初期費用を抑えられる代わりに賃料が高くなる場合があります。居抜きオフィスでは、内装をそのまま利用できれば非常に安く入居できる一方、追加工事や設備修繕、退去時の原状回復費によって総額が増える可能性があります。
そのため、物件比較時には月額賃料だけでなく、入居時の内装・什器費、契約期間中の賃料、追加工事・修繕費、退去時の原状回復費までを合計し、3年・5年など実際の利用予定期間で総額を比較することが、最も確実な判断方法です。
7. 退去時に差が出る原状回復リスク
セットアップオフィスと居抜きオフィスを比較するとき、見落とされやすいのが退去時の費用です。入居時に数百万円の内装費を削減できても、数年後の退去時に同程度以上の工事費が発生すれば、総コストでは必ずしも安い移転とはいえません。
| 確認項目 |
セットアップオフィス |
居抜きオフィス |
| 原状回復の基準 |
貸主が定める契約条件を確認 |
前テナント造作を含む範囲を確認 |
| 造作撤去 |
貸主所有部分との区分を確認 |
引き継いだ造作の撤去義務に注意 |
| 設備故障 |
貸主設備か什器かを確認 |
残置物は借主負担となる場合がある |
| 次テナントへの再譲渡 |
原則として契約条件による |
再居抜きが認められるか確認が重要 |
特に居抜きオフィスでは、「居抜きで入ったのだから居抜きで退去できる」とは限りません。契約上はスケルトンへの原状回復が必要となっているケースも考えられるため、入居前に原状回復範囲を確認することが不可欠です。設備についても、貸主所有設備なのか前テナントから引き継ぐ残置物なのかによって、故障時の修繕負担が変わります。
実際のセットアップ・居抜きオフィスを比較
内装や設備、賃料、敷金などの条件は物件によって異なります。
東京都内で現在掲載中の物件を比較してみてください。
8. セットアップオフィスが向いている企業
セットアップオフィスは、単に「内装工事をしたくない企業」に向いているわけではありません。特に相性が良いのは、移転スピード、デザイン性、初期投資の抑制を同時に重視したい企業です。
通常の賃貸オフィスでは、契約後にレイアウト設計、内装工事、什器購入、通信環境の整備などを進める必要があります。これに対してセットアップオフィスでは、すでに一定の内装や設備が整っているため、移転担当者の業務負担を抑えながら、新しいオフィスでの業務開始までの期間を短縮しやすくなります。
特に、事業拡大による人員増加や採用強化を進めている企業では、オフィス移転そのものに長い時間をかけることが難しい場合があります。経営陣や総務担当者が通常業務と並行して移転を進めるケースでは、内装設計や施工会社との細かな調整を減らせることは大きなメリットです。
また、セットアップオフィスは、採用活動や取引先との商談でオフィスを利用する企業にも適しています。受付や会議室、ラウンジなどが一定のデザインコンセプトで整えられている物件であれば、自社で多額の内装費を投じなくても、来訪者に与える印象を高めやすくなります。スタートアップやベンチャー企業の中でも、今後の採用人数を増やしたい企業や、企業イメージを重視するフェーズに入った企業とは相性が良いでしょう。
一方で、セットアップオフィスは一般的な賃貸オフィスより月額賃料が高く設定されることがあります。そのため、長期間同じオフィスに入居する予定の企業よりも、数年程度の利用を想定し、その間の内装投資をできるだけ抑えたい企業の方がメリットを感じやすい場合があります。
例えば、3年から5年程度でさらなる増床や本社移転を計画している企業が、現在のオフィスに数百万円から数千万円規模の内装投資を行うと、次回移転までに十分な投資回収ができない可能性があります。そのようなケースでは、完成済みのセットアップオフィスを利用し、事業成長に応じて次のオフィスへ移る方が合理的です。
セットアップオフィスとの相性を整理すると、以下のようになります。
| 企業の状況 |
セットアップオフィスが向いている理由 |
| 急速に人員が増えている |
内装工事期間を短縮し、増員に合わせて早く移転しやすい |
| 採用活動を強化している |
デザイン性の高い受付・会議室を採用活動に活用しやすい |
| 移転担当者の人数が少ない |
内装設計や施工管理にかかる社内工数を減らしやすい |
| 初期投資を抑えたい |
内装工事や什器購入へのまとまった支出を抑えやすい |
| 数年後に再移転する可能性がある |
内装への過剰投資を避け、次の成長フェーズへ移りやすい |
| 企業イメージを重視している |
完成された内装を利用し、来客時の印象を整えやすい |
ただし、セットアップオフィスは既存のレイアウトを使用することが基本となるため、独自性の高いオフィスづくりを求める企業には適さない場合があります。例えば、特殊な設備を必要とする事業や、部署ごとに細かくレイアウトを設計したい企業では、完成済みの内装が制約になる可能性があります。
そのため、セットアップオフィスを選ぶ際は、現在の従業員数だけでなく、契約期間中の採用予定人数や会議室数、Web会議スペースの必要数まで確認し、完成済みレイアウトで数年間問題なく運用できるかを判断することが重要です。
9. 居抜きオフィスが向いている企業
居抜きオフィスは、初期費用をできるだけ抑えながら、既存のオフィス環境を効率的に活用したい企業に向いています。特に、内装デザインへの強いこだわりがなく、前テナントのレイアウトが自社の業務に適している場合には、大きなコストメリットを得られる可能性があります。
通常のオフィス移転では、会議室、受付、間仕切り、照明、電源、LAN配線などを新たに整備する必要があります。さらにデスクやチェア、会議テーブルなどを購入すれば、内装工事費と什器購入費だけで大きな初期投資になります。
居抜きオフィスでは、こうした設備をそのまま引き継げる場合があります。そのため、特に手元資金を事業へ残したい創業期・成長期の企業にとって有力な選択肢となります。
例えば、資金調達を行ったばかりのスタートアップであれば、調達資金をオフィス内装ではなく、人材採用、広告、新規サービス開発などに充てたいと考えることがあります。その場合、前テナントが整えた内装を活用し、最低限の変更だけで入居できる居抜きオフィスは、資金効率の面でメリットがあります。
また、短期間で新しい拠点を確保する必要がある企業にも適しています。通常の賃貸オフィスでは、物件契約後に内装工事が必要になりますが、居抜きで既存設備をそのまま利用できれば、工事期間を短縮できます。急な増員、新規事業の立ち上げ、営業拠点の増設など、移転スピードを求められる場面でも活用しやすいでしょう。
居抜きオフィスが特に向いているのは、既存レイアウトと自社の必要条件が高い水準で一致している企業です。例えば、20名で入居予定の企業が、前テナントも20名前後で使用していたオフィスを借りる場合、座席数、会議室数、収納量などがそのまま利用できる可能性があります。
一方、前テナントが営業会社で、自社がエンジニア中心の企業であるなど、働き方が大きく異なる場合は、居抜きであってもレイアウト変更が必要になります。その場合、追加工事費によって居抜きのメリットが小さくなる可能性があります。
居抜きオフィスとの相性を整理すると、以下のようになります。
| 企業の状況 |
居抜きオフィスが向いている理由 |
| 創業期・スタートアップ |
内装工事費を抑え、事業資金を手元に残しやすい |
| 内装へのこだわりが少ない |
前テナントの内装をそのまま活用しやすい |
| 既存レイアウトが自社に合っている |
追加工事を最低限に抑えられる |
| 短期間で移転したい |
大規模な内装工事を省略しやすい |
| 家具・什器も削減したい |
デスクや会議テーブルなどを引き継げる場合がある |
| 数年以内に再移転する可能性がある |
内装への大規模投資を避けやすい |
ただし、居抜きオフィスでは、入居時の費用だけで判断してはいけません。最も重要なのが、退去時の原状回復条件です。
前テナントの内装をそのまま引き継いだとしても、契約終了時にはスケルトン状態まで戻す必要がある場合があります。その場合、自社が施工していない会議室や間仕切りなども、自社の費用で撤去しなければならない可能性があります。
さらに、引き継いだ設備が「貸主設備」なのか「造作譲渡」なのか「残置物」なのかによって、故障時の修理費や撤去費用の負担も異なります。そのため、居抜きオフィスは「内装が残っているからお得」と判断するのではなく、入居時に削減できる費用と退去時に発生する可能性のある費用をセットで比較することが重要です。
特に長期間の入居を予定している場合は、既存設備の経年劣化にも注意が必要です。空調、照明、電源、什器などが古い場合、入居後に修理や交換が必要になる可能性があります。見た目の内装だけではなく、設備の年式や状態、故障時の費用負担まで確認したうえで判断しましょう。
このように、居抜きオフィスは条件が自社に合えば非常に高いコスト削減効果を期待できますが、既存レイアウトとの相性と退去時条件によってメリットが大きく変わるオフィス形態です。初期費用だけを最優先するのではなく、3年間など予定する入居期間全体の総コストを見ながら選ぶことが重要です。
10. セットアップ・居抜き・通常オフィスの選び方
最適なオフィス形態は、単純な坪単価では決まりません。初期費用、毎月の固定費、利用予定期間、内装の自由度、増員計画、退去条件を組み合わせて判断する必要があります。特に初めて内装済みオフィスを検討する場合は、以下のように移転目的から候補を絞ると比較しやすくなります。
| 重視すること |
検討しやすいオフィス |
理由 |
| 初期費用を最優先で抑えたい |
居抜きオフィス |
既存内装・什器を活用できれば新規投資を圧縮しやすい |
| 手元資金を残したい |
敷金0・低敷金物件も含めて比較 |
敷金による契約時の資金拘束を抑えられる |
| デザインと移転スピードを両立したい |
セットアップオフィス |
完成済みの内装を利用できる |
| 自社独自の内装を作りたい |
通常オフィス |
レイアウトやデザインの自由度が高い |
| 退去まで含めた費用を読みやすくしたい |
セットアップを中心に契約条件を比較 |
居抜き特有の造作譲渡・既存造作撤去リスクを避けやすい |
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11. 契約前に確認したいポイント
セットアップオフィスと居抜きオフィスは、完成済みの内装を活用できることから、通常の賃貸オフィスよりも移転時の負担を抑えやすい一方、内装・設備・什器の扱いや退去条件が物件ごとに異なります。そのため、賃料や立地、見た目の良さだけで契約を決めるのではなく、入居時から退去時までに発生する費用と責任範囲を契約前に確認することが重要です。
特に確認したいのは、敷金・保証金、保証会社利用料、内装・什器の所有区分、造作譲渡の条件、設備故障時の修繕責任、追加工事の可否、原状回復範囲、退去時の造作撤去、再居抜きの可否です。入居時には問題がないように見えても、契約内容を十分に確認していないと、入居後や退去時に想定外の費用が発生する可能性があります。
内装・什器・設備の「所有者」を確認する
最初に確認したいのが、オフィス内にある内装や設備、什器を誰が所有しているのかという点です。セットアップオフィスでは、受付や会議室、造作壁などを貸主が設置しているケースがある一方、デスクやチェアなどの什器については契約対象に含まれていない場合があります。
居抜きオフィスではさらに複雑で、貸主所有の設備、前テナントから譲渡される造作、単なる残置物が同じ室内に混在している場合があります。内覧時に置かれているものが、すべてそのまま使用できるとは限りません。
例えば、会議テーブルやデスク、収納棚が内覧時には設置されていても、契約開始前に前テナントが撤去する予定となっている場合があります。反対に、引き継げる設備であっても、造作譲渡料などの費用が設定されるケースもあります。何が残り、何が撤去され、どこまでが賃貸借契約に含まれるのかを一覧で確認しておくことが大切です。
設備が故障した場合の修繕負担を確認する
既存設備を利用するオフィスでは、故障した場合に誰が修理費を負担するのかも重要です。貸主が所有・管理する設備であれば、契約条件に基づいて貸主側が修繕する場合がありますが、前テナントから引き継いだ残置物については、故障しても貸主が修理や交換を行わず、借主側の負担となる場合があります。
特に空調、照明、会議室設備、モニター、テレカンブース、電源設備などは、業務開始後に不具合が発生すると営業に影響する可能性があります。設備が使用できる状態かを内覧時に確認するとともに、故障時の修繕責任についても契約前に確認しておきましょう。
追加工事・レイアウト変更ができる範囲を確認する
完成済みのオフィスであっても、自社の働き方に完全に合うとは限りません。例えば、会議室を1室追加したい、座席数を増やしたい、間仕切りを変更したい、電源やLANを増設したいといった要望が出ることがあります。
ただし、セットアップオフィスでは貸主が施工した内装を前提として貸し出しているため、大幅なレイアウト変更が認められない場合があります。居抜きオフィスでも、貸主の承諾なく既存造作を変更できるとは限りません。
契約前には、どこまで変更可能なのか、工事には貸主の承諾が必要なのか、指定工事会社を利用する必要があるのかまで確認しておくと、入居後の追加費用を把握しやすくなります。
原状回復する「基準となる状態」を確認する
契約前に最も注意したい項目の一つが原状回復です。原状回復では、単に「元に戻す」という認識だけでは不十分で、具体的にどの状態まで戻す必要があるのかを確認する必要があります。
セットアップオフィスの場合、貸主が最初から施工している受付や会議室などはそのまま残せる一方、借主が追加した造作だけ撤去する契約となっている場合があります。ただし、すべてのセットアップオフィスが同じ条件ではないため、契約書や原状回復条件を個別に確認する必要があります。
居抜きオフィスでは、さらに注意が必要です。居抜きで入居したからといって、居抜きの状態で退去できるとは限りません。前テナントから引き継いだ会議室や間仕切りなどについても、退去時には撤去して指定された状態まで戻す契約となっている場合があります。
居抜きオフィスは「再居抜き」が可能か確認する
居抜きオフィスを検討する場合は、将来退去するときに、次のテナントへ内装を引き継げるかどうかも確認しておきたいポイントです。
次のテナントへ再び居抜きとして引き継ぐことができれば、原状回復工事を行わずに退去できる可能性があります。一方で、再居抜きには貸主の承諾が必要となる場合があり、次の入居者が決まらなければ通常どおり原状回復が必要となることもあります。
そのため、契約時点で「再居抜きが可能」と確認できたとしても、必ず原状回復費を回避できるとは限らない点には注意が必要です。
契約時に必要な費用を総額で確認する
内装費を抑えられる物件でも、敷金・保証金、礼金、仲介手数料、保証会社利用料などを含めると、契約時の支払額が大きくなる場合があります。特に敷金0物件では、敷金を預け入れない代わりに保証会社への加入が必要となるケースがあるため、「敷金がない=契約時費用がすべて安い」とは限りません。
物件を比較するときは、月額賃料だけではなく、契約時に実際に支払う金額を確認し、さらに内装・什器の追加費用や将来の原状回復費まで含めて判断することが重要です。
| 契約前の確認項目 |
主な確認内容 |
| 敷金・保証金 |
何ヶ月分必要か、返還条件はどうなっているか |
| 保証会社 |
加入の要否、初回保証料・更新料など |
| 内装・什器 |
貸主所有・譲渡対象・残置物の区分 |
| 造作譲渡 |
譲渡対象と造作譲渡料の有無 |
| 設備故障 |
故障時の修理・交換費用を誰が負担するか |
| 追加工事 |
レイアウト変更の可否、貸主承諾・指定業者の有無 |
| 原状回復 |
退去時にどの状態まで戻す必要があるか |
| 造作撤去 |
前テナントから引き継いだ造作も撤去対象になるか |
| 再居抜き |
次のテナントへ内装を引き継いで退去できるか |
セットアップオフィスや居抜きオフィスでは、契約前に確認した条件が、そのまま入居後・退去時のコストに直結します。内覧時の印象だけで判断せず、内装や設備の引き渡し範囲と契約書の内容を照らし合わせながら確認することが重要です。
特に居抜きオフィスでは、既存内装を活用できるほど初期費用を抑えやすい反面、設備の修繕や退去時の撤去費用まで引き継ぐ可能性があります。セットアップオフィスでも、追加工事の制限や什器の扱い、原状回復条件は物件ごとに異なります。「今いくらで入居できるか」だけでなく、「入居後に何を負担し、退去時にどこまで戻すのか」まで確認したうえで比較しましょう。
12. よくある質問
Q1. セットアップオフィスと居抜きオフィスの一番大きな違いは何ですか?
最も大きな違いは、内装を用意した主体です。セットアップオフィスは貸主側が内装を整えて募集するのに対し、居抜きオフィスは前テナントが使用していた内装を次のテナントが引き継ぎます。この違いによって、設備の所有権、修繕責任、原状回復条件などにも違いが生じます。
Q2. セットアップオフィスと居抜きオフィスはどちらが安いですか?
既存内装をほぼそのまま利用できる場合、初期費用は居抜きオフィスの方が抑えやすい傾向があります。ただし、追加工事、造作譲渡料、退去時の原状回復費まで含めると結果が変わることがあります。セットアップオフィスも月額賃料が高くなる場合があるため、利用予定期間全体の総コストで比較する必要があります。
Q3. 敷金0のオフィスは本当に初期費用が安くなりますか?
契約時に必要となる資金は抑えやすくなります。例えば月額賃料100万円で敷金6ヶ月なら600万円の預け入れが必要ですが、敷金0ならその資金拘束をなくせます。ただし、保証会社利用料など別の費用が発生する場合があるため、敷金だけでなく契約時に支払う費用全体を比較してください。
Q4. 居抜きオフィスなら退去時も居抜きで返せますか?
必ずしも居抜きのまま退去できるとは限りません。契約によっては、前テナントから引き継いだ内装を含めて撤去し、指定された状態まで原状回復する必要があります。再び次のテナントへ居抜きで引き継げるかどうかも貸主の承諾や契約条件によるため、入居前の確認が重要です。
Q5. 30坪程度のオフィスならどちらがおすすめですか?
面積だけでは判断できません。30坪でも、既存レイアウトが自社の人数や会議室数に合っていれば居抜きオフィスのメリットを得やすくなります。一方、追加工事を避けながら一定水準のデザインや設備を求める場合はセットアップオフィスが候補になります。賃料、内装、敷金、利用期間、退去条件まで含めた比較が必要です。
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13. まとめ
セットアップオフィスと居抜きオフィスは、どちらも一般的な賃貸オフィスと比較して、内装工事の負担を減らし、短期間で入居しやすいオフィス形態です。ただし、セットアップオフィスは貸主側が用意した内装を利用し、居抜きオフィスは前テナントの内装を引き継ぐという根本的な違いがあります。
初期費用を最優先する場合は、既存内装との相性が良い居抜きオフィスが有力です。一方、デザイン性、入居スピード、費用の見通しやすさを重視する場合は、セットアップオフィスが適している可能性があります。また、手元資金を残したいスタートアップでは、セットアップ・居抜きという物件タイプだけでなく、敷金0や低敷金といった契約条件まで含めて探すことが重要です。
オフィス検索ネットでは、東京都内のセットアップオフィス、居抜きオフィス、敷金なし物件などを条件から比較できます。物件を選ぶ際は月額賃料だけを見るのではなく、「入居時費用+内装・什器費+契約期間中の賃料等+退去時費用」まで計算し、自社にとって最も合理的なオフィスを選びましょう。
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